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〃佛立植民地〃が第一歩=タピライに福祉施設建設=社会福祉法人化を決定全体計画図は2年後に

ニッケイ新聞 2013年4月10日

 本門佛立宗中央寺院日教寺(コレイア教伯教区長)はこのたび、笠戸丸移民だった茨木日水上人の夢〃佛立植民地〃の実現に向け、確かな一歩を踏み出した。一昨年、サンパウロ州タピライ市に購入した土地(84アルケール)に、福祉施設を建設する計画だ。費用はブラジル政府に要請するほか企業からの寄付を募る。全体の設計図は、山内日開・第25世講有(宗門の最高位)が2015年の「佛立世界青年家族大会」に来伯するのにあわせ完成させるという。

 福祉施設経営のエキスパート、西村淳晨・宗務本庁副総長が、門祖日隆上人の550回大遠忌で来伯した6日に会合を開き、社会福祉法人「自然環境保護区域聖地」(Santuario Ecologico Area de Preservacao e Conservacao do meio Ambiente、SEAMA)の設立が決定した。
 3人の設計技師が早くから設計を始めていたが、施設の建設や運営には社会福祉法人の立ち上げが不可欠だった。コレイア教区長は、西村副総長の来伯に、「ありがたい時期に来てくれた」と顔をほころばす。
 土地はサンパウロ市から南西135キロ、大西洋岸森林に囲まれた自然豊かな場所だという。お堂や麻薬中毒患者の更生施設、老人福祉施設等を建設、〃聖地〃とすることが事業の構想だ。同教区長は「政府や地域社会も巻き込んだ活動をしていきたい」と語る。
 西村さんは京都、大阪に複数の老人、児童福祉施設や保育所を設立、その経営に携わってきた。
 第二次大戦後、梶本日颯・第11世講有が戦災孤児を引き取り、設立した社会福祉法人「積慶園」の経営を受け継ぎ、特別養護老人ホームや保育所へと事業を拡大、23年前には大阪に社会福祉法人「淳風会」を設立した。関わる施設数は計15カ所。
 「日本人移民105年が経ち、寺院も10カ所できた。やっと、これからブラジル社会に貢献できる」と西村さん。長年の施設経営のノウハウに期待がかかる。
 また、コレイア教区長は5日、タピライ市のアラルド・トデスコ市長とも会談し「社会福祉で町を活性化したいとの気持ちは同じ。出来る事は何でも協力する」との快諾も得ているという。