ニッケイ新聞 2013年4月11日
メンサロン事件の主犯として実刑判決を受けた元官房長官のジョゼ・ジルセウ氏(労働者党・PT)が10日付フォーリャ紙のインタビューに答え、最高裁判事としてメンサロン裁判に参加したルイス・フックス判事から、「メンサロン裁判で無罪票を入れる」と約束されていたことを明かした。
ジルセウ氏によると、今から2年ほど前、連邦最高裁判事選出を目指したキャンペーンを実施中のフックス氏が、面会を申し入れてきた。最初は断っていたが、半年ほどつきまとわれ、会うことにした際、何も聞かずに「私が最高裁判事になったあかつきにはあなたを無罪にします」と約束したという。
ジルセウ氏は「(私は潔癖だから)あなたに無罪にしていただかなくて結構だ」と伝えた上、裁判前に問題を起こさないよう、キャンペーンへの参加も避けたという。
フックス氏は昨年12月のフォーリャ紙の取材で、「ルーラ政権で影響力のあった人物と聞いたので」ジルセウ氏と会うことにしたという。フックス氏は当時、ジルセウ氏がメンサロン事件の被告であることを思い出さなかったと語ったが、ジルセウ氏は、「最高裁判事を目指すような人物がメンサロンの被告を覚えていないはずはない」と答えている。
フックス氏は2011年2月にジウマ大統領によって最高裁判事に任命され、メンサロン裁判に参加、ジルセウ氏に有罪票を投じた。ジルセウ氏はこのことに驚きはしなかったものの、フックス氏がメンサロン事件を審判するにふさわしかったとは思えず、「フックス氏は参加すべきではなかった」と語っている。
また、メンサロン裁判に関しても、「全国市長選の直前に開始されたのは政治的な思惑としか思えず、裁判がマスコミによって公衆にさらされたのは受け入れがたいことだった」と語った。さらに「マルコス・ヴァレーリオ氏の企業からPTへの振込みを元として起訴は展開されていたが、2003年当時の私は、官房長官で党の運営に関われない状態だった」として自らが無実であることを改めて訴えた。
ジルセウ氏は何人かの政治家についても語っており、ルーラ氏がメンサロン事件で調査されることに関しては「大統領のイメージを損なわせようとする動きがある」として擁護した。ジウマ氏に関しては「ルーラ再出馬の空気も作ったが、彼女こそPTの大統領候補だ」とした。
14年大統領選出馬が噂されるエドゥアルド・カンポス氏(ブラジル社会党・PSB)については、「90年代に(カンポス氏が)スキャンダルに直面したとき、援助して以来良い関係だ」と語り、ジョゼ・セーラ氏(民主社会党・PSDB)に関しては、「夢をあきらめずに戦う人の象徴」として、2度の大統領選敗退後もなお出馬意欲の衰えない同氏をほめた。さらにジョアキン・バルボーザ最高裁長官の大統領選出馬は「難しいだろう」と語った。