ニッケイ新聞 2013年4月11日
ハイチからの不法移民急増への対処に苦しみ、アクレ州が政府に対し緊急援助の嘆願を行っている。10日付エスタード紙が報じている。
アクレ州のチオン・ヴィアナ知事は9日の記者会見で、「ハイチ移民問題に関する法務省からの援助ははわずかで、外務省もこの問題に関して冷淡だ」と語り、両省を批判した。同知事は、この問題についてはアントニオ・パトリオッタ外相とも何度も話し合いを持ってきたという。
アクレ州はここ数年、ハイチ移民にとってのブラジルへの玄関口となっている。きっかけは31万6千人の犠牲者を出した2010年1月のハイチ大地震で、ハイチ国民は壊滅状態の故郷を離れ、海外移住を行っている。
アクレ州には10年12月に最初の移民団がやって来て以来、4300人の移民が入国している。移民はエクアドルを越え、ペルーとの国境から入国を行っている。
同州のブラジレイラ市やエピタシオランジア市は現在、1200人以上のハイチ移民を抱えており、アクレ州が移民の世話のために使った額は300万レアルを超えているが、国からの支援は同州の法務人権局を通じての65万レアルのみだ。
ハイチ移民は現在、200人収容の施設で生活しており、電気代や家賃、3食の食事代は同州が社会開発省の援助を受けながら負担している。だが、衛生上の問題や怠惰、将来の見通しのなさは急速な状況悪化を招きかねず、「暴力沙汰でも起きたら州警察だけでは抑えきれない」とヴィアナ知事は嘆いている。
同州では12年末以来、ハイチ以外のエチオピア、セネガル、ドミニカ、ナイジェリア、インドからの移民も増えており、同州政府は「国際的な人身売買が行われているのでは」との懸念も抱いているという。