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携帯奪って被害者射殺=サンパウロ市東部で17歳の少年=4月で6件目の強盗殺人

ニッケイ新聞 2013年4月12日

 サンパウロ市東部のベレン地区で9日夜、仕事帰りの大学生が自宅アパートの門前で強盗に襲われ、携帯電話を渡したのに射殺されるという事件が発生。10日に容疑者の少年が自首してきたと11日付伯字紙が報じた。
 事件が起きたのは10日夜9時前。地下鉄ベレン駅から徒歩で帰宅したヴィットル・ウゴ・デプマンさん(19)は、自宅アパートの前で強盗に襲われた。ヴィットルさんは両手を上げて抵抗する意思はない事を示し、犯人の要求通りに携帯電話を渡したが、犯人が背中のカバンも盗もうとしたために体勢が入れ替わり、犯人と向き合った状態で左手を伸ばした瞬間に、頭を撃たれた。
 ヴィットルさんが倒れたのを見た犯人は携帯電話のみを奪い、バイクの二人乗りで逃走。駆けつけたアパートの門番がすぐに家族に連絡し、呼吸が停止していたヴィットルさんに20歳のいとこが蘇生術を施す間に救急車が呼ばれた。ヴィットルさんは息を吹き返し、病院に運ばれたが、助からなかった。
 アパート外壁の防犯カメラ映像や犯人は未成年者との隣人の目撃証言を元に犯人の目星をつけた警察は、10日昼前に近くのファヴェーラの捜索を開始。容疑者は強盗事件で逮捕歴があり、本日12日に18歳となる未成年者で、警察が自宅に着いた時には逃げ出していたが、その後に自宅に電話。母親と共にブラス区にある少年裁判所に出頭して犯行を自供したため、身柄を拘束された後に少年院に送られた。少年のほかに成人2人も逮捕されており、内1人は犯行に使ったと思われる銃を不法所持していた少年の兄だった。
 ヴィットルさんは事件当日、レデTVでの仕事(研修)を終えた後、地下鉄の中から「あと15分で帰るから」と連絡を入れており、銃声を聞いて「爆竹かな」などと話していた家族は、門番からの連絡に慌てて家を飛び出したと言う。
 スポーツ好きでいつも笑顔だったというヴィットルさんの遺体は10日午後、遺族やカスペル・リベロ大学でラジオ・テレビを専攻する学友、高校時代の友人・知人らも見守る中、市東部のクアルタ・パラーダ墓地に埋葬された。
 サンパウロ市の強盗殺人事件は1〜2月に30件起きており、昨年同期比(14件)の約2倍。4月は10日までに少なくとも6件起きており、犠牲者はバイク運転手4人とタクシー運転手1人にヴィットルさんとなっている。