ニッケイ新聞 2013年4月17日
ジウマ政権の大臣らによる空軍機の利用には私的なものが多く含まれ、飛行距離の合計は地球から月までを10往復する距離にあたると、15〜16日付エスタード紙が報じた。
大臣や長官クラス、上院や下院の議長、連邦最高裁長官などが利用できるよう配備されている空軍(FAB)の航空機は18機あり、ジウマ大統領の場合はこれとは別に2台の専用ジェット機がある。
ジウマ大統領は就任当初、空軍機の利用は極力避けるよう大臣らに呼びかけたが、2011年から12年にかけての利用回数は5%、利用距離は10%増えた。現政権開始後の2011年1月から13年2月までの利用状況を見ると、飛行距離の総計は800万キロに及んでいる。これは、地球から月までの往復旅行10回分、地球を630周できる距離だ。
2002年に出た大統領令4244条によると、空軍機の利用は、治安上や医療上の緊急事態が第一義で、次が公務執行上の利用。大臣たちがブラジリアから自宅のある州に帰るための航空機やエアタクシー替わりに使用することは二の次とされている。
だが、実際には、「職務上の行事参加」のはずの空軍機利用が官報などに公式記録が残っていない日に行われている例が多く、政府の公務ではなく、党や個人の用向きでの私的利用ではないかと受け止められている。
また、明らかな私的旅行を空軍機で行った例も見受けられる。例えば、ミシェル・テメル副大統領は、2012年の聖週間を観光地として有名なペルナンブコ州フェルナンド・デ・ノローニャ諸島で過ごすのに空軍機を利用した。ジョゼ・エドゥアルド・カルドーゾ法務相も今年、サンパウロ市カーニバルの行き帰りに空軍機を使った。イデーリ・サルヴァッチ政局調整担当長官の場合、空軍機利用の78%が家族の住むサンタカタリーナ州フロリアノーポリスへの週末を利用した帰省だった。
空軍機の利用回数が最も多いのはアレッシャンドレ・パジーリャ保健相で、同相の1カ月平均の利用距離は2万キロに及ぶ。米国のヒラリー・クリントン元国務長官の1カ月平均の飛行距離は世界中飛んでいて3万2千キロだったが、パジーリャ保健相の場合はほとんどが国内利用であるから、いかに頻繁に利用しているかがわかる。
大臣たちはみな、軍用機の乱用はしてないと弁明しているが、連邦検察庁は不正利用があると見て、連邦会計検査院(TCU)と共同で、空軍機利用に関する公聴会を開くことを求めている。