ニッケイ新聞 2013年4月18日
谷口雅春総裁(当時)のブラジル初巡錫から50周年の今年、生長の家ブラジル伝道本部(村上真理枝理事長)が主催する第57回ブラジル宝蔵神社大祭、イベロアメリカとアンゴラ及び全伯第28回流産児無縁霊供養塔供養祭が14日にイビウナ聖地で行われ、前日までの大雨をものともせず約1万3千人が詰めかけた。同教団の最も重要な行事の一つといわれ、ミナス州、バイーア州など全伯各地からバス約170台を連ねて参加し、熱心に先祖の230万柱の霊牌などを供養した。
「あれからもう50年か」。曇り空に肌寒い風が吹き抜ける中、7割以上が非日系人の参列者を見渡しながら、岩坂吉彦前理事長(73、二世)は、そう感慨深げに語った。
1930年に創始した同教団は、当初から世界に向けた人類光明化運動を目指していたが、活動の中心は日本国内だった。岩坂前理事長は「1963年に谷口総裁が来伯されて当地の様子を実際ご覧になり、『西洋人にもこの思想が受け入れられるとの確信が得られた』と語っておられました」という。こうして一般社会向けの布教強化の大号令が発せられ、大きな一歩が踏み出された。
参列者の一人で「30回以上来ている」という新田寿々子さん(65、二世)=サンパウロ市在住=は、「30年前この大祭は日系人ばかりでしたし、言葉も日本語だけ。15年ぐらい前でしょうか、どんどん非日系の参加が増えてきました」と証言した。
当日は宮裏準治ラテン米教化総長が大祭の意義を説明し、実相を観ずる歌の斉唱、宇宙浄化の祈り、神殿の扉を開き、招神歌、祈願文に続いて先亡者諸霊が呼ばれ、聖経「甘露の法雨」を全員で厳かに詠みあげつつ焼香して霊を慰め、扉を閉めて儀式は終わった。
その後、村上真理枝理事長から「理想に燃え、国家のために身をなげうって鋼の雨に晒されながら戦い、自分の血で国境線をひいたご先祖の皆さんは英雄であり、我々はそれら英雄の子孫であります」と語り、「しっかりと御霊を慰めなければ」と挨拶すると、大きな拍手が会場に響いた。昼食を挟んで流産児無縁霊の供養祭が行われた。
この様子はインターネットで生中継され、全伯各地の支部数百カ所、ラ米やポ語アフリカ諸国など10数カ国の幹部らもネットを通して儀式に参列した。
境内の「拓人の聖塔」は谷口総裁の揮毫で、63年のご巡錫を記念し、同年6月18日に建立された。「日本移民55周年の佳き日にブラジル国開拓の為、尊き生命捧げられし各国の開拓功労者のみ霊達に盡せぬ感謝を捧げ、その冥福を祈るべく是の塔は建てられた」と碑の裏面にある。当日はイビウナ市長と同観光局長、大田慶子連邦下議ら来賓も列席した。