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マリーナとカンポスに打撃=新党に不利な法案下院通過=大統領選で放送時間なし?=ジウマ圧倒的有利に反発も

ニッケイ新聞 2013年4月19日

 17日の下院で、新政党に対して制限を与える法案が可決され、14年大統領選に立候補すると見られているマリーナ・シウヴァ氏(持続ネットワーク・RS)やエドゥアルド・カンポス氏(ブラジル社会党・PSB)に不利な展開となった。18日付伯字紙が報じている。

 下院で承認されたのは、新しく作られた政党は公的な政党資金であるフンド・パルチダリオを受けとれないこと、そして、選挙時にテレビやラジオでの政見放送用の時間を割り当ててもらえないことなどを盛り込んだ法案だ。賛成は240票で反対は30票、投票辞退は13票だった。
 今回の法案について提案者のエジーニョ・アラウージョ氏は「所属政党を離れて新党に行く人が、政党資金や放送時間まで持っていくことはできない」として、新党結成で離党議員が出ることで、旧所属党が被る影響を問題としている。
 この法案は今後、上院での審議に回されるが、法案が正式に了承された場合に不利になるのが、14年大統領選の有力候補のマリーナ氏とカンポス氏だ。
 大統領選に臨むために新政治団体、持続ネットワーク(RS)を立ち上げているマリーナ氏は、「これは、労働者党(PT)と違う意見を持つ人たちに対する情け容赦ない銃撃のようなものだ」と批判している。
 また、カンポス氏にとってもこれは痛手だ。同氏は、社会大衆党(PPS)と全国運動党(PMN)が合併して17日に結成されたばかりの新党、民主運動(MD)と同盟を組む手はずを整えていたからだ。
 一方、2011年にジルベルト・カサビ前サンパウロ市市長がDEM(民主党)や民主社会党(PSDB)の離党議員らと結党した社会民主党(PSD)は、高等選挙裁判所(TSE)がフンド・パルチモニアの95%支給とラジオやテレビでの放送時間の3分の2の無料割当を認めたこともあり、12年の全国市長選挙で4位となっている。
 この法案に強い反対をあげる声も少なくない。それはマリーナ氏やカンポス氏が不利になることで、14年大統領選でジウマ大統領が圧倒的に有利になるからだ。今回の法案審議は政府が後押ししたため、ジウマ氏を軍政時代の大統領のエルネスト・ガイゼル氏や、ヒトラーやムッソリーニなどファシズムの独裁者と比較する声まで上がっている。
 PSDBからの14年大統領選出馬が有力視されているアエシオ・ネーヴェス氏は「これは民主主義にとって非常に良くないことだ。14年大統領選挙を公正に戦うために、カンポス氏とマリーナ氏の存在は必要だ。大統領の不戦勝を望む国民など誰もいない」と不満を露にしている。
 また、カルドーゾ元大統領も「法案は理屈にはかなっているが、これは明らかにマリーナとMDに対してのものだ」と語っている。
 PSDBとPSBはこの法案を違法だとして、連邦最高裁に訴えることを検討しているという。