ニッケイ新聞 2013年4月19日
サンパウロ市が、市内のクルーベ・エスコーラへの援助予算を約25%カットし、各エスコーラに打撃を与えていると18日付伯字紙が報じている。
クルーベ・エスコーラ(以下、CE)は貧しい地区の人がスポーツなどを無料で楽しめるように設けられた公共施設で、サンパウロ市スポーツ局によるスポーツ・レジャー計画の担当者が、市内105のCEに22〜25%の経費削減を要請した。これはハダジ市長が2月に官報で発表した「市が結んでいるあらゆる契約を見直し、最低20%の出費をカットする」という意向を受けたものだ。
スポーツ局が2月28日付で各CEに送付した文書では、清掃費や保守経費、スポーツ用具、授業時間の切り詰め、教師の解雇まで列記して、経費を削った活動計画の提出を求めている。
この要請により、極南部で731人の生徒を抱えるCEのヴィラ・ミッシオナーリアでは、100人以上の子供にカポエイラを教えていたインストラクター1人と4人の助手を解雇しなければならなかった。このCEでは教師不足を補うため、責任者自らもボランティアでカポエイラを教える必要に駆られている。このCEでは午前中、高齢者向けの体操のクラスも設けており、多くの高齢者の「憩いの場」としても知られている。
サンパウロ市セントロのCEノヴォ・グリセーリオでは「3人の職員と1人の教師しかおらず、人員カットはできない」として、200人いるサッカー少年たちの食事代を現在の1人3レアルから更に削る必要がある。
CEは子供から高齢者までを対象とし、活動も空手やバレーなど多岐にわたるため、市の対策は働く母親には特に不評だ。CEではチーズとモルタデーラのサンドイッチなども出すが、「子供たちの食事の半分を取り上げるなんて」「こういうクラブが機能しなくなったら子供たちはどこに行けばいいの」と嘆く人たちも少なくない。