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1歳の妹が姉を救う!=サラセミアで骨髄移植成功=ブラジル初の快挙に母の執念

ニッケイ新聞 2013年4月20日

 【既報関連】5歳上の姉を悩ませる遺伝子異常による血液疾患を治療すべく、適合性100%の遺伝子を持って生まれた妹の骨髄が、移植手術を受けた姉の病気を完治させた。これは同病の骨髄移植としてはブラジル初の例でもあった。19日付伯字紙が報じている。
 12年2月16日付本紙でも報じた、サンパウロ州セルキーリョ在住のマリア・ヴィットーリアちゃん(6)はサラセミアという、骨髄が正常な赤血球を作り出せなくなる遺伝子性疾患を患っていた。この疾患は3週間ごとの輸血と毎日の鉄分投与が必要で、重症型は30歳まで生きられない。
 そんな長女の病状をなんとかしようと、自身も医師である母親のジェニセさんは東奔西走。国内外30人を超える医者と相談し、万全の骨髄移植手術を可能にするため、サラセミアの遺伝子を持たずかつ100%の適合性を持つ子供を産むべく2度の体外授精を行い、昨年2月にこの目的に完璧に合致するマリア・クララちゃんを出産した。
 当初はクララちゃんのへその緒の血から採った幹細胞をヴィットーリアちゃんに移植しようとしたが、量が不足していたため、クララちゃんが1歳になるのを待ってより多くの細胞を集めた後、サンパウロ市シリオ・リバネス病院で移植を行った。
 ヴィットーリアちゃんは、移植を受ける前、病んでいる骨髄細胞を破壊し、免疫システムをゼロにする目的で強い化学薬品を投与された。ヴィットーリアちゃんの髪が副作用で抜けはじめたときはジェニセさんも心配したが、ヴィットーリアちゃんは、「また元通りに生えてくるから」と励まされ、頑張って耐えたという。
 クララちゃんの骨髄細胞採取は3月18日に行われ、へその緒の幹細胞と共に移植された。術後最初の2週間は輸血が必要だったが、その後は正常な骨髄細胞が作られるようになり、輸血の必要がなくなった。
 執刀医のヴァンデルソン・ロシャ医師によると手術は成功で、合併症の起きる可能性は5%ほどだという。手術当初は、肝臓に鉄分が過剰沈着する異常が起きたが、これは欧州での手術でも見られる例で、いずれも完治しているという。
 ヴィットーリアちゃんは現在1年生だが、学校の教師は勉強が遅れないよう、授業内容をしっかり送ってくれているという。ヴィットーリアちゃんは早く退院して「(大人気子供ノヴェーラ「カロッセル」の)マリア・ジョアキーナのようなきれいなロングヘアにしたい」と語っている。