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会議所昼食会=「小売業は今後も拡大」=マガジネルイザ社長が講演

ニッケイ新聞 2013年4月20日

 ブラジル日本商工会議所(藤井晋介会頭)の4月の定例昼食会が12日、ブルーツリー・ファリアリマ・ホテルで開かれ、会員ら140人が参加し、国内9位の大手量販店チェーンを展開するマガジネルイザ(Magazine Luiza)社のルイザ・エレナ・トラジャーノ社長が講演した。
 ルイザ社長はヴァロール・エコノミコ誌が今年3月に発表した「最も優れた女性企業家」の10人に選ばれ、連邦政府の企業経営審議会のボードメンバーでもある。
 冒頭で「日本移民のブラジルへの貢献、特に農業にもたらしてくれたものに感謝している。孫にも日本語を教えたい」と話して会場を沸かせ、「ブラジルはグローバル経済の一角。10年前は1100万人だった失業者は今では500万人と約半数に減り、最低賃金も200レアルから678レアルになった。経済は成長し続けている」とアピールした。
 その成長を特徴付けるものとして、いわゆる新中間層(Nova Classe Media)と呼ばれる人々の急増を挙げ、「いまや国民の半数以上を占める約1億人が中間層」と説明した。
 その層を狙った冷蔵庫や大型テレビの販売拡大が期待できるとし、「一般的に、ブラジル人は消費が大好き。特に中間層は質の高い商品を求めている」とし、ブラジルの小売業は今後も一層拡大するとの見方を示した。
 1958年にサンパウロ州フランカ市で創業した同社は、現在全国16州に740店舗以上展開し、サンパウロ市内だけで80店舗もある。売上も2001年の6億レから、昨年は90億レを記録。積極的なM&A(企業の合併や買収)で成長しており、今年は100億レの売上を目指しているという。
 1995年からCRM(顧客関係管理、情報システムを応用し企業が顧客と長期的な関係を築く手法)を導入、バーチャル店舗(Lojas Virtuais)もオープンした。パソコンの画面上で架空の売り子が販売し、写真で商品を詳細に見て買い物ができるというもので、特に若い女性に好評だという。
 また、給与を会社全体の利益を鑑みた歩合制にし、社員向けに格安の保険制度を導入するなど待遇を改善、奨学金を支給し、ジェトゥリオ・ヴァルガス財団と提携して通信教育を実施するなど、従業員が働きやすい職場作りにも力を入れているという。その結果、2001年から連続で労働環境が優れた企業として表彰され、毎年2500人もの新入社員を採用している。
 最後に、「ブラジルは税制が複雑でインフラも整っておらず、課題は多いが、過去数十年の安定した自由経済と国内消費が、ブラジル経済の基盤。経済危機はそれで乗り越えたようなもの」と説明し、W杯や五輪に向け今後ますます消費が拡大し、経済は活性化するとの展望を語った。