ニッケイ新聞 2013年4月24日
2012年にブラジルに来た外国人旅行者は総計5670万人で、2011年比4・5%増えたと23日付エスタード紙が報じた。今年は6月にサッカーのコンフェデレーションズ杯、7月もカトリックの世界青年大会が行われ、旅行客が急増すると見られている。
欧州経済危機の影響がまだ残り、米国の景気回復も今一つという状況だから、前年比4・5%増という数字は決して悪くないはずだが、「ブラジルほどの国なら570万人未満ならごくわずか」というのはガストン・ヴィエイラ観光相。ジウマ政権では、今年の来伯者は600万人を超えると予測している。
外国人旅行者の国籍を見ると、トップはアルゼンチンの167万1604人で、昨年比4・9%増。来伯者数4位にウルグアイの25万3864人(2・8%減)、5位にチリの25万2586人(15・4%増)が入っており、ラ米からの旅行者は全体の約半数の282万人に達した。ラ米の経済力がさほど落ちなかった事や地理的条件の良さが、ブラジルに足を向けさせたようだ。
一方、経済回復が遅れて庶民の懐も厳しい米国からの旅行者は、順位の上では2位を保ったものの、その数は58万6463人で前年比1・4%減だったという。
なお、25万8437人で3位だったドイツは6・9%増。ブラジル—ドイツ年となる2013〜14年の来伯者は更に増える見込みだ。政府は新興国を中心にプロモーションをかける意向というが、12年が移民200周年だった中国は、18%増でも6万5100人で未だに遠い国だ。
外国人旅行者の目的地はサンパウロ州がトップで211万427人。大半は商用が目的とされ、観光が主目的のリオ州と性格を異にする。リオ州への旅行者は116万4187でサンパウロ州の半分強。3位は南大河州81万670人、4位はパラナ州79万1396人だった。
一方、3月30日未明にリオ市で発生した留学生カップルの強盗・強姦事件後、米・仏両国が旅行者に警告を発すなど、治安に不安を残す国だけに、コンフェデ杯や世界青年大会の警備は政府にとっても関心事だ。リオでは事件後、バス路線の統廃合も兼ね、市南部のロタソン(乗合いバス)走行を禁止した。また、ジウマ大統領が23日、新聞読者の質問に「5月には、コンフェデ杯に向けて軍を導入した国境警備の一大オペレーションを行う」と答えるなど、それなりの対策を考えているようだ。