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刊行=『躍動する沖縄系移民』=琉球大学が3月に刊行

ニッケイ新聞 2013年4月27日

 琉球大学「人の移動と21世紀のグローバル社会」プロジェクトの移民研究班の成果をまとめた『躍動する沖縄系移民 ブラジル、ハワイを中心に』(町田宗博、金城宏幸、宮内久光編、293頁、税別3千円)が3月に日本の彩流社から刊行された。
 これは同プロジェクトの進行と軌を一(いつ)にして開催された、08年のブラジルとアルゼンチンの沖縄移民百周年祭と、11年に那覇で開催された第5回世界のウチナーンチュ大会の準備段階での調査や本番の折に発表された研究内容、フォーラム「海外日系紙記者がみた移民社会」などをまとめたもの。
 第2章「ウチナーンチュの越境的ネットワークと紐帯(ちゅうたい)」で金城宏幸教授は、移民先国におけるウチナーグチ(沖縄方言)の重要性についてこう論じる。《越境的なアイデンティティーを醸成しようとするときに、その文化的結束点すなわち紐帯として機能する代表的な要素が言語(ウチナーグチ)であると解釈した》
 さらに様々な移住先国から第5回世界のウチナーンチュ大会には7363人もの驚異的な人数が集まった。その現象に関して、《異なる国々に生活するウチナーンチュの間に、ネットワーク化へと向かう運動と紐帯を求める心が確認されるのであれば、そこに越境的社会空間としての「世界のウチナーンチュ」が明らかに存在するといえるだろう》(61頁)と解釈している。
 この他、「戦後沖縄県における海外移民の歴史と実態」(石川友紀)、「沖縄県系経営者ネットワークの形成と展開」(宮内久光)、「日系コロニアの社会基盤と『ブラジル沖縄県人会』」(町田宗博)、「ブラジル沖縄コロニア語」(儀保ルシーラ悦子)、「ハワイのユタ」(浜崎盛康)などの興味深い内容が列記された11章編成となっている。