ニッケイ新聞 2013年5月1日
【既報関連】レナン・カリェイロス上院議長とエンリケ・アウヴェス下院議長(共に民主運動党・PMDB)は、4月29日にジルマル・メンデス連邦最高裁判事と会談を持ち、メンデス判事が差し止めた新党規制法案と、最高裁の権限を弱める憲法改正案(PEC33)について、見直して保留にすることで、対立状態を休戦させることにした。4月30日付伯字紙が報じている。
4月26〜27日付本頁でも報じたように、この1週間、議会と最高裁は緊張関係にあった。4月25日午前、下院憲政委員会(CCJ)が最高裁の違憲や判例についての判断を議会が審議する権限を持つというPEC33を電撃承認し、最高裁の反発を買った。
同日夜、今度はメンデス判事が、マリーナ・シウヴァ氏(持続ネットワーク・RN)やエドゥアルド・カンポス氏(ブラジル社会党・PSB)といった14年大統領選候補者に不利な、新党に政治資金と政見放送の時間を割り当てない新党規制法案の上院での審議を差し止めた。レナン議長は「議会への侵害だ」と憤慨したが、アウヴェス下院議長は逆に同日、下院ではPEC33に関する特別委員会の設立を行わないと発表した。
この経緯は立法府と司法府の対立との憶測を呼んだが、レナン氏とアウヴェス氏が4月29日にメンデス判事と話し合いを持つと、対立ムードは一気に下火となった。メンデス判事は、新党規制法案に関する上院での審議差し止めの暫定令は、なるべく早く最高裁で審議すると約束した。
他方、PEC33に関して両議長は、同法案を議会で通すべきではないとの考えを示した。会談の席で両議長はメンデス判事から、最高裁判事の間で同法案はメンサロン事件に対する労働者党(PT)からの報復としてしか見なされておらず、「(議会を通過しても)最高裁で違憲判決が出されるだけだ」と言われている。
会談後、両議長はメンデス判事を称え、「議会と司法の関係は尊重されなければならない」と強調した。この会談は、議会と最高裁の対立を恐れたジウマ大統領(PT)がPMDB党首でもあるミシェル・テメル副大統領に頼んで両議長を説得させた上で行われた。3者の会談は来週も継続して行われる。
一方、この休戦モードに対し、憤りを隠せなかったのはPTの下院議員たちで、マルコ・マイア前下院議長は、「憲法改正に力を持つのは議会だ」と主張し、最高裁の失墜をはかる新たな法案プロジェクトを立ち上げる意向を表明した。PEC33の提案者のナザレノ・フォンテレス氏も最高裁を「自分本位だ」と罵倒している。
一方、新党RNからの大統領立候補をすると見られるマリーナ氏は、この結果を受けメンデス氏に感謝の発言を行った。同氏は7日にジョアキン・バルボーザ最高裁長官との面会を行う。