ニッケイ新聞 2013年5月1日
サンパウロ市では今年1〜3月に、10代の青少年たちが1日につき約10人補導されていたことがわかった。4月30日付伯字紙が報じている。
この4月、サンパウロ州では10代の犯罪をめぐる論議が一気に深刻化した。その契機となったのは、4月9日にサンパウロ市東部ベレンでの大学生ビットル・ウゴ・デップマンさん殺害と、同25日に大サンパウロ市圏ABC地区サンベルナルド・ド・カンポの歯科医シンチア・マガリ・モウチーニョ・デ・ソウザさん殺害の実行犯が共に17歳だったことだ。
いずれの事件も残忍性が強かったことで社会的反響が大きく、成人年齢の引下げを求める声はサンパウロ州民の93%に上った。ジェラルド・アウキミンサンパウロ州知事(民主社会党・PSDB)は青少年児童憲章(ECA)の見直しを求め、成人基準を18歳から16歳に引下げ、殺人罪などを犯した場合、現状の3年から10年に刑期を延ばすべきだと主張している。
そんな矢先、サンパウロ市での未成年者の犯罪データが発表された。それによると、1〜3月に警察へ補導された未成年者は911人で1日平均10人を超えている。月別の補導者は、1月279人に対し、3月は23・6%増の345人と尻上がりで、1〜3月の全補導者に占める10代の割合は8%だった。
刑法の見直し作業にも参加したルイーザ・エルフサンパウロ州検察官は、「10代はもっと刑罰に対して怖れを抱かなくてはならない。暴力犯罪にはそれに伴う社会への回答が求められる」と語り、成人基準引下げを支持している。歯科医殺害実行犯の17歳少年は事件以前に5度補導されていた。
だが、ジョゼ・エドゥアルド・カルドーゾ法務相(労働者党・PT)は「成人年齢を引き下げたからといって魔法のように問題は解決しないし、真の問題が隠されたままで終わる」と消極的だ。