ニッケイ新聞 2013年5月3日
1日の「労働者の日」にあわせ、ジウマ大統領と、14年大統領選挙で大統領の座を争うと見られるアエシオ・ネーヴェス氏(民主社会党・PSDB)が共にインフレを主題とした演説を行った。2日付伯字紙が報じている。
ジウマ大統領は1日、テレビとラジオを通じて「労働者の日」にちなんだ12分の演説放送を行った。そこで大統領は労働者党(PT)政権が10年で1930万、ジウマ政権でも390万人分の雇用を創出してきたと主張した。
その上で、政府目標上限の年間6・50%を超えて6・59%に至ったインフレ率に関しては、「政府は全力でインフレ抑制のために戦っていく。その姿勢は常に変わらない」と宣言し、同時に「労働者の給与や購買力の向上を脅かすようなものはない」と語った。
また、同演説では、石油のロイヤルティ問題で、分配金の全てを教育費に使うよう法制化することを議会にも訴えて行くことを強調した。
一方、中央労組(CUT)やフォルサ・シンジカウといった大型労組によるサンパウロ市での集会に参加したアエシオ氏は、ジウマ大統領は「インフレを甘く見すぎだ」と批判、「インフレという化け物が舞い戻り、労働者の食卓を脅かすのを黙って見てはいられない」と言い放った。
フォルサのパウリ—ニョ会長(民主労働党・PDT、連邦下議)も、「2010年選挙で票を求めに来て以来、企業家ばかり相手にしてきた大統領には、ここに戻って労働者と向き合う勇気はない」と手厳しかった。同氏は、インフレ対策としてガチーリョ(労働者への自動的な給与調整)制度を復活させるべきだと訴えた。
これに対し、ジルベルト・カルヴァーリョ大統領府総務室長(PT)は「インフレ抑圧が難しい時期があったのは確かだが、インフレは鎮静化して来ている」と語った。また、パウリーニョ氏と同じPDTのマノエル・ディアス労働相も、「ガチーリョは政府がインフレを制御出来なかった頃の遺物」と答えた。アエシオ氏もガチーリョには反対だが、「こんな発言が出てくるのもPT政権がインフレを抑制できなくなっているからだ」と駄目押しをした。
他方CUTは、公務員のスト権や人材派遣業のあり方、家庭内労働者の正式雇用などについて政府と議論するための日程を決めたと語っている。
アエシオ氏同様、14年大統領候補と目されるペルナンブーコ州知事のエドゥアルド・カンポス氏(ブラジル社会党・PSB)はサンパウロ市の集会には出席しなかったが、PSBの代表はアエシオ氏の政府批判に同調した。また、ジウマ大統領がロイヤルティ発言を行う前日の4月30日、カンポス氏はペルナンブーコ州の分配金は教育や科学研究、技術開発費に全額当てる条例を裁可した。
また、1日の集会では「ルーラ、戻れ」の横断幕も立ち、労組との対話をおろそかにするジウマ政権やその経済政策への不満を感じさせた。