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サンパウロ市住民の心配事は?=昔はインフレ、今は麻薬=30年の調査が世相を映す

ニッケイ新聞 2013年5月3日

 ダッタフォーリャが1日、サンパウロ市住民の懸念事項について、1983年5月1日発表の調査結果と今年の調査結果を比較した記事を掲載した。
 1983年5月1日発表のデータは同年創設のダッタフォーリャの初仕事で、サンパウロ市の住民1千人に「あなたが一番心配している事は?」と質問した結果だ。
 1983年は年間のインフレ率が200%を超えており、当時のサンパウロ市には、インフレが最も心配という人が26%いた。以下、家族の誰かが麻薬に手を出す23%、家が強盗に襲われる(押し込み強盗)22%、失業18%、路上で強盗に襲われる9%、心配事はない2%だった。
 ところが今は、インフレを第1の懸念事項としたのはわずか7%で、市民の専らの関心事は家族の誰かが麻薬に手を出すの45%だった。この質問文は抽象的で、家族が麻薬を使っているまたは使ってないかと恐れているだけなのか、麻薬売買に手を染める事、麻薬密売者らとかかわって各種の犯罪に巻き込まれる事も含む心配なのかは見当が付かない。
 ただ、この30年間にサンパウロ市には複数のクラコランジアが出現、麻薬に手を出して失踪した息子や娘を捜す親の姿が新聞で報道されたり、州都第1コマンド(PCC)誕生後の警察と密売者との抗争事件多発、麻薬やアルコールに手を出す年齢が下がっている事などを考えると、いくら心配してもしすぎる事がないテーマともいえる。
 また、押し込み強盗への懸念が26%、路上で強盗に襲われる事への懸念も16%に増えた事も目を引く。83年の場合もこの二つを合わせると31%でインフレ以上の懸念事項だった事を考えれば、殺人や強盗殺人も含む暴力事件が心配事の上位を占める状態は余り変わっていない。
 一方、インフレが一番心配という人が7%、失業を心配する人も5%に減ったのは、レアルプラン導入やインフレ目標の設定といった政策が奏功し雇用も安定している事を反映している。心配事はないは1%だった。
 ダッタフォーリャは、選挙前の支持率調査やDNAパウリスタのような市民生活の実態調査など多岐にわたり、ジウマ大統領が世論の動きに細心の注意を払っているのは周知の事実だ。
 議会と最高裁の対立など、民主主義の根幹である3権分立を脅かすような動きもあった後だが、創設20周年記念の調査では民主主義が最善と考える人が57%居たのに現在は53%に減り、軍政支持が16%から19%に増加、どちらでも良いは20%でほぼ不変との記述もあった。