ニッケイ新聞 2013年5月3日
日伯間ビジネスをさらに活発に——。茂木敏光経済産業大臣が1日、サンパウロ市のチボリホテルで「中小企業海外展開プラットフォーム事業」の立ち上げ式に出席した。同事業は、経産省と当地の官民支援機関が一体となり支援体制を整備、日本の中小企業のブラジル進出を支援するもの。世界でブラジルが初の試みとなる。
茂木大臣は冒頭、「経産省として、大企業だけでなく中小企業の国際展開の全面的支援を行うという方針が固まった」と事業立ち上げの経緯を説明した。
「ブラジルは新興国として確固とした地位を築いている。大型案件含め日本からの投資も進んでいるが、日本企業の実力、この国のポテンシャルからしたら、まだ道半ば」との印象を語り、「プラットフォームが絵に描いた餅に終わらず有効に機能し、日系の中小企業のブラジルでの事業展開がますますさかんになるよう期待している」とあいさつした。
同事業ではジェトロサンパウロ事務所を中核として、メンバーとして参画する在聖総領事館、文協、県連、JBIC、JICA、ブラジル日本商工会議所、人材派遣会社、弁護士、会計士、ビジネスコンサルタントといった組織が連携する。 それぞれが持つサービスや知見、ネットワークなどを活用しながら、ビジネス機会の創出を図る。具体的には、現地専門家によるリスク対応、各種制度や手続き、投資優遇策、法務会計、各種行政手続きなど個別相談、セミナー等による情報発信、ビジネスマッチング、現地ミッションの受け入れ協力などを行う。
同事務所の井上徹哉次長によれば、同所は年間500社から問い合わせを受けており、特に昨今は生産や販売の委託先の問い合わせ等、ビジネスに密接した具体的な相談が多いという。
「これまでも同様の業務をジェトロで行ってきたが、我々のような日本人だけでは限界があった。特に、ブラジルの特徴ともいえる日系社会の力を借りたい」と、同事業において日系人の支援を期待している考えを示した。
経産省としては今後、中国、インド、インドネシア、タイ、フィリピン、ベトナム、ミャンマーのアジア諸国で、同様のプラットフォームを今年度中には立ち上げたい意向だという。
立ち上げ式では出席していたプラットフォーム事業のメンバーが紹介され、茂木大臣、ジェトロの横尾英博副理事長、福嶌教輝在聖総領事、文協の木多喜八郎会長、県連の園田昭憲会長、ブラジル日本商工会議所の藤井晋介会頭らがテープカットを行った。