ニッケイ新聞 2013年5月4日
ブラジル最大のロックスター、レナート・ルッソの自伝映画が公開され、話題を呼んでいる。3日付伯字紙が報じている。
ブラジル最大のロックバンドと呼ばれたレジアン・ウルバーナのヴォーカル、レナート・ルッソは、ブラジルでの80年代のロック・ブームを牽引した重鎮で、「軍政時代以降最大の音楽スター」と目されることが多い。
SBT局が2011年に行った「ブラジル最大の偉人」アンケートではロベルト・カルロス、ルイス・ゴンザーガに次ぐ音楽部門3位、エスタード紙が昨年行った「ブラジル史上最高のレコード」でもレジアン・ウルバーナの「ドイス」が3位につけた。ブラジルロックと先端の欧米ロックとの距離を縮め、軍政終了前後の社会を鋭く批判する曲で時代のカリスマとなったことが評価されている。
レナートは1996年にエイズによる合併症のため、36歳の若さで急逝したが、現在も人気が衰えていない。特にこの数年は、ほぼ毎年のように記念レコードの発売や特別コンサートが行なわれており、この5月には彼にちなんだ映画が2本公開される。一つ目は3日から全国公開の「ソーモス・タン・ジョーヴェンス」だ。これはブラジリアの一介の少年に過ぎなかったレナートが成長して行く様子を描いた作品で、レナート役のチアゴ・メンドンサのそっくりな演技が絶賛されているほか、当時のブラジリアの若者風俗の描き方への評価も高い。アントニオ・カルロス・ダ・フォントウラ監督(74)は「私はレナートの世代ではないが、彼の音楽は今でも聴かれているし、世代の違う人間にも訴える力がある」と語る。
30日からはレナートの代表曲にちなんだ映画「ファロエステ・カボルコ」が公開され、6月にはコンフェデ杯開幕会場のマネ・ガリンシャ・スタジアムで記念コンサートも行なわれる予定だ。