ニッケイ新聞 2013年5月9日
7月のワールド・ユース・デーに合わせてリオを訪れるフランシスコ法王の訪問日程が、7日に正式に発表された。8日付伯字紙が報じている。
ワールド・ユース・デーは1984年に当時のヨハネ・パウロ2世の提唱ではじまったカトリック教会の集会で、2〜3年に1度の頻度で世界中の青年カトリック信者を集めて開催され、参加者が100万人を超えるときもある。第14回目となる今回ははじめてブラジルで開催され、7月23〜28日に行われる。
4月に選出されたフランシスコ法王にとってはこれが就任後の初のワールド・ユース・デーということになるが、今回の訪伯では、同集会への出席以外にも、積極的な訪問活動を行う。7日、リオのオラニ・テンペスタ大司教はバチカン市国のラジオ局で「法王は今回の訪問でファヴェーラや麻薬治療院を訪れる予定だ」と語った。
バチカンが発表した予定では、法王は22日にガレオン空港に降り立ち、グアナバラ宮殿でジウマ大統領と面会したあと、サンパウロ州のスマレー大学で宿泊。スマレーには24日朝まで滞在する。
24日は朝、サンパウロ州アパレシーダに移動し、ノッサ・セニョーラ・アパレシーダ聖堂を訪問。聖職者や神学生らと昼食を共にした後、夕方にはリオに戻り、サンフランシスコ病院で青年麻薬患者や治療に当たっている職員たちとの対談を行う。
25日はファヴェーラの訪問を行うが、注目されるのは、観光地としても知られているヴィジガルやドナ・マルタなどではなく、市北部のヴァルジーニャを訪れること。この地域は麻薬取引の巣窟として知られ、殺人事件なども多発、ブラジルの「ガザ地区」とも呼ばれていたが、昨年10月に警察によって制圧された地域だ。このファヴェーラ訪問後は、コパカバーナ海岸でユース・デーのイベントに合流する。
26日は市南部にあるリオ大司教の公邸、サンジョアキン宮殿で5人の少年犯罪者との面会を行う。この5人はリオの少年裁判所の委員会で選ばれる予定だ。27日はサンセバスチオンの聖堂でミサを行った後、リオ市立劇場で官民の著名人や企業家らと会談。夜はグアラチーバで翌朝10時まで青年信者たちと夜を徹して巡礼を行い、28日午後5時30分にユース・デーのボランティアたちに別れを告げた後、午後7時にガレオン空港を発つ。
貧しい人に優しいことで知られるフランシスコ法王らしい日程だが、公式日程変更の可能性について訊かれたオラニ大司教は、「現法王なら突然の変更はいつでも起こりうる」と笑顔で答えた。