ニッケイ新聞 2013年5月10日
4月の拡大消費者物価指数(IPCA)が0・55%となり、12カ月の累積インフレはかろうじて政府目標上限の6・5%を割る6・49%となったと9日付伯字紙が報じた。市場では5月のインフレは再び目標上限を超え、国内総生産(GDP)成長は年1・5〜2%という声も出始め、政府の経済スタッフには厳しい現実が突きつけられている。
月前半の動きからすれば0・42〜0・54%の上昇と見られていた4月のIPCAが、0・55%上昇し、市場関係者達を驚かせた。
これは、3月は前月比1・14%上昇した食料品が同0・96%の上昇に止まる、3月末にセスタ・バジカの減税措置が採られたなど、インフレ圧力の弱まりを感じさせるものがあり、3月と同じ0・47%程度の物価上昇で済むとの予想が広がっていたためだ。
ところが、食料品は予想ほど値下がりせず、医薬品価格の2・7〜6・31%調整(平均2・99%)、家庭内労働者の経費1・25%、家賃0・83%、婦人服1・26%、保健プラン0・65%上昇といった具合で、最終的に0・55%のインフレとなった。
1〜4月の累積では、2012年の1・87%を上回る2・5%の物価上昇で、市場では、5月にはまた政府の目標上限を超え、その状態が8月頃までは続くとの見方も出ている。
深刻なのは、12カ月で14%上がった食料品など、市民生活と直結した部分の値上がり感が、より大きな幅で値上がりしているという感覚を植えつけている事だ。穀物の豊作や野菜、果物類の端境期終了などで状況は好転するとの見方が、毎日の支出で庶民の懐が詰まってくれば、購買力の低下も避けられない。
専門家は、高インフレ状態が長引けば他の経費の値上がり分を付加した形の価格調整も繰り返され、抑制をより困難にすると懸念するが、次回の経済基本金利(Selic)引き上げについては0・25%ポイント程度との見方が強いようだ。
市場関係者の中には、年末の時点での年間インフレ予想を5・4%から5・7%に引き上げた人もいるが、その一方、下方修正する傾向が強いのはGDP成長率だ。政府の成長目標は3・5%だが、市場では最近、1・5〜2%の成長との予想が広がり始めている。
8日にギド・マンテガ財相と会談した経済界の代表者達は、「1・5〜2%なら1%を割った昨年よりましだが、それでも寂しい限りだ」といった感想を漏らしている。
成長予想を下方修正する動きは、生産コスト高で国際的な競争力を殺がれている工業界など、減税対策の恩恵にあずかった業界からも出ており、政府のインフレ対策や経済活性化対策が思うような成果を見せていない事への不満や苛立ちが表面化してきている。