ニッケイ新聞 2013年5月10日
「中国人が激増し、大きな影響力を持ってきました」。お隣アルゼンチンの邦字紙「らぷらた報知」の崎山朝一さんとメールをやり取りする中で、そんな言葉が飛び出した。亜国人口は4千万人余だが、移民局の推計では約12万人の中国人がいる。05年には6万余だったから、わずか8年で2倍になった▼亜国中国系の多くはスーパー経営に携わっており、その数7千軒以上とか。中国系だけのスーパーマーケット会議所すらある。105周年を迎える亜国日系人口は、最近の調査で6万1千人(子孫含めて)と判明した。中国移民の激増振りが伺われる▼ウィキペディアによれば、ブラジルの中国人は20万人、うち13万人がサンパウロ市に集中する。戦前戦後を通した日本移民の総数が25万人だから、それに近い数がここ数十年で入った。5月5日付けエスタード紙ではサンパウロ市内に日本国籍者は1万1694人、中国国籍者は8945人とあるから、おそらくビザなしを入れたらすでに中国人の方が多い▼日本では若者が留学したがらないとか、海外駐在を嫌がると聞くが、なにも最初から外国に永住する必要はない。西洋式の弱肉強食社会で生きる困難さを身をもって体験して、日本が今後どう生き残っていくかを真剣に考える材料にし、その中から日本の素晴らしさに気付いて欲しい▼ネットやテレビで見ただけでは現実は絶対に分からない。自分の目で見て、食べて、感じることが大事だ。そんな体験を促進する交流査証(2年ぐらい)を日伯間で作り、コロニアが積極的に引き受け先になったらどうか。中国人に負けない熱意で日本の若者にもブラジルを体験して欲しい。(深)