ニッケイ新聞 2013年5月14日
昨年のジャブチ賞小説部門を受賞したオスカール・ナカザト、クリチーバで日本文化専門季刊紙を発行していた久保田マリリア、『リベルダーデの日本映画』を刊行した岸本アレシャンドレ各氏には、興味深い共通点がある。三世で完全ポ語環境育ち、大人になってから日本文化や移民史に関わっているという点だ。
コロニアからは距離を置いた子供時代を過ごしたナカザト、久保田さんは、「学校で日本人と呼ばれるのが嫌だった。大人になってから、日本人の血が流れている自分のことを知りたいと思うようになった」と回顧した。何が彼らをそうさせたのか。そうするに至った理由は、本人たちもよく説明できないらしい。
日本語は話せないが、彼らなりの視点や、発信のしかたがあるのだと思う。それがコロニアに何らかの影響を与えるのだろうか。興味深い現象だ。(詩)