ニッケイ新聞 2013年5月16日
サンパウロ州の裁判所が14日、軍警察に対し、路上で起きた犯罪事件の被害者の救助を認める判決を下したと15日付伯字紙が報じた。
サンパウロ州では1月、同州軍警は犯罪事件などの被害者の救助活動に参加してはならないという通達が州保安局から出ていたが、今回の判決はこの通達を覆すものだ。
12年中の軍警との銃撃戦などによる死者は、州都第1コマンド(PCC)との抗争事件の激化などで前年比40・4%増の423人。州保安局は、被害者救助を装った軍警が移動中に犯罪者を殺害したものも含まれている可能性を疑い、軍警による救助を禁じた。この通達後、事件の現場に駆けつけた軍警は生死に関わる重傷者や急病人がいても現場を隔離するのみで、負傷者らの救助は移動式緊急医療サービス(SAMU)に委ねられている。
だが、軍警が手出しできないために負傷者や急病人の命を危険にさらす事もあり、一般市民からの疑問の声も聞いた州検察局が司法の判断を仰ぐ事になった。
サンパウロ市の場合、13カ所のSAMUの基地に入る出動要請は1日に617件。州保安局はSAMUだけでも充分対応できるとしてきたが、実際にはSAMUの緊急救命活動にも支障が出ていた。