ニッケイ新聞 2013年5月18日
【既報関連】ジウマ大統領の熱望する港湾のインフラ改善を目的とした港湾法案の暫定令(MP595)は、議会審議が難航後、有効期限の失効直前に滑り込みで承認された。17日付伯字紙が報じている。
MP595に関する下院審議は港湾ターミナル民営化などに反対する与野党議員が難色を示したりして遅れ、有効期限の16日朝になってやっと下院を通過した。
旧態依然とした港湾運営の効率の悪さが輸送費高騰につながり、ブラジル産業の競争力低下を招いていることから、ジウマ大統領はMP595を是が非でも通過させるため、今月中に10億レアル規模の議員割り当て金支出などの交換条件を出し、議会承認を図った。
その結果、下院は14日にMP595の主文の承認を行ったが、詳細の詰めなどで15日の審議は徹夜となり、全項目を承認し終えたのは16日朝9時43分だった。
上院の審議開始は11時で、レナン・カリェイロス上院議長は、審議を遅延させてMP失効を図る議員たちの発言を封じ込めたりした上で、一括承認を図った。結果は賛成53票、反対7票、棄権5票で、MPは失効まで5時間もないギリギリの段階で承認された。
この承認方法に不服の上議3人は審議を無効にするよう最高裁に訴えたが、セウソ・デ・メロ判事はこれを却下。14年大統領選出馬が有力視される民主社会党(PSDB)のアエシオ・ネーヴェス上議は承認の仕方に異を唱え、投票そのものを棄権した。
このMP承認で、州や連邦政府から公営港湾の運営を委託されている民間企業は、投資次第で現行契約を25年間延長することが可能となる。今後の入札では、最大の運営能力を最小価格で提供する企業が選ばれる。民間港湾では、これまで運営する企業の積荷以外は扱えなかったが、これが許可されるようになる。
公営港湾従業員はマンパワー管理機関(Ogmos)に登録した労働者であることが義務付けられていたが、今後はOgmosとの契約時にいくつかの種類を選ぶことができるようになる。民間港湾の従業員は従来通り自由に契約できる。
公営港湾では、現行の港湾法が採用された1993年以前に締結した契約は無条件で更新されていたが、これらの古い契約は最大20年までの延長しか認めない。
運営責任を州管轄の公社が統括している公営港湾では入札と落札企業の選定は公社の担当だったが、今後は、連邦政府が認めた場合に限り、公社が行うことができる。
議会承認案についてグレイシー・ホフマン官房長官は「政府案と異なる部分には拒否権を発動することになる」と語った。下院審議では「1993年以前の古い契約は解約する」との政府案を「20年までの更新を認める」とするなど、幾つかの修正を行っており、連邦政府が5点までを再修正する可能性がある。
MP595は、2017年までに540億レアルを投じた港湾の近代化を目的としている。