ニッケイ新聞 2013年5月21日
18〜19日に国内各地でボルサ・ファミリア(生活扶助)打ち切りなどの噂が流布、受給者が連邦貯蓄銀行やロッテリカに押しかけ、現金自動預け払い機(ATM)や銀行内の施設を壊したりする騒ぎも起きたと20日付伯字紙が報じた。
生活扶助はルーラ政権とジウマ政権の看板政策の一つで、恩恵にあずかる人は1380万家族に及ぶ。ところが、その支給が3カ月間停止されるという噂や、母の日の特別扶助が出たが18日に引き出さなければ受け取れなくなるという噂が流れたために、少なくとも12州の人々が銀行に走り、大混乱が生じた。
生活扶助の支払日は受給者カードの末尾番号毎に決まっているが、群集が押し寄せて〃取り付け騒ぎ〃の状態になった連邦貯蓄銀行では、特別な払い出し措置を講じて対応した。人々は長蛇の列を作り、ATMなどに用意されていた現金がなくなったために自分の金がもらえなくなると不安になったりした群集が、ATMや銀行内のガラスを壊すといった暴挙に出たところもあった。
最も混乱が大きかったのは100万家族以上が生活扶助を受けているセアラー州で、34支店で問題が生じた。パライバ州では銀行とロッテリカ18カ所が混乱し、警察も出動した。ペルナンブコ州でもレシフェとその周辺の14支店で混乱が起き、具合が悪くなったり意識を失って倒れたりする人も出た。
マラニョン州では13支店で混乱が生じ、サンルイス5支店と内陸部4支店でガラス戸やATMが壊された。アラゴアス州は9支店、バイア州は15支店、ピアウイ州も8支店で問題が起き、北リオ・グランデやセルジッピ、パラー、アマゾナスの各州でも混乱が生じた。南東伯では、リオ州(リオ市やバイシャーダ・フルミネンセ、同州北部)で混乱が生じた。
社会開発・飢餓対策局のテレーザ・カンペロ長官は18日に文書、19日にはインタビューに応じる形で噂を否定。ジウマ大統領は生活扶助に関する情報を常に観察している事や、今年度の予算は全て払出しがプログラム済みである事を改めて説明した。ジョゼ・エドゥアルド・カルドーゾ法務相も、噂の出所や政治的な意図の有無などを突き止めるための徹底捜査を連邦警察に命じた。
連邦貯蓄銀行は、20日からの扶助金の支払いは通常通りのスケジュールで行い、週末の特別措置で予定日前に受け取った人は6月の支払日まで別の支給はないと明言したが、20日の窓口にはやはり長い列が出来た。週末に払い出しを受けた人の総数は20日夜までに確認される予定だ。