ニッケイ新聞 2013年5月22日
トカンチンス州に3日、株式会社「ロゴハウスジャパン」(東京都)の齋田光孚会長率いる企業家一行が訪れ、シケイラ・カンポス知事らに〃新日本人移住事業〃の提案を行った。同州と州農業局サイトが報じた。提案内容は、東日本大震災で職を失った福島県の住民を誘致し、同地で果樹、野菜栽培等農業に携わってもらおうというもの。被災地の住民を支援すると共に、未開拓の土地利用によって州の発展にも繋げる考えだ。
親日派で知られるカンポス知事は、2011年11月に被災地の宮城県気仙沼を訪れ、被災した住民を受け入れる意向を示すなどしていた。今回、このように日本からの申し出を受け、事業に全面的に協力する姿勢を見せている。
齋田会長は1958年から4年間ブラジルに駐在しており、自身が会長を務めるロゴハウスジャパンは日伯交流年実行委員会の日本側委員となるなど、ブラジルとの縁が深い。
同会長は、「津波による被害を受けた同県の農業従事者らは災害補償を受け取っており、移住できる状態にある」と述べ、「日本政府が被災地の経済復興に準備中の資金の一部を、移住事業に振り向けるよう働きかけるつもり」と明かした。
州都パルマス市にある州農業局では、ルイテル・パドゥア副局長が一行を歓迎。同副局長は、州には農業だけではなく果物、林業、養殖業、畜産業等、様々な産業の発展可能性があるとアピール。「現在州政府は灌漑事業に力を入れており、これから4百万ヘクタールもの土地を灌漑予定」と将来性も強調した。
同席した経済成長技術科学革新商業局ディレクターのアンドレ・プジレーゼ氏も、投資家を誘致するため税制上の優遇を行うと話した。
会合には、同州アパレシーダ・リオ・ネグロ市で農畜産業を営む石川ファビオ、フルカワ・ロベルトさん、NPO法人「ABCジャパン」(神奈川県)の橋本秀吉代表、ブラステル・テレコン社サンパウロ市支社(本社東京)の役員らも顔を揃えた。
齋田会長は「福島の様々な技術を州で活用できれば。日系社会の存在も事業の助けになる」と期待を寄せた。
一行は同日、ポルト・ナショナルのサンジョアン灌漑果樹園も視察した。