ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | ジウマ大統領=最高裁判事にバローゾ氏指名=選出難航で半年かかる=同性愛や中絶弁護の進歩派=メンサロン判決は覆るか?

ジウマ大統領=最高裁判事にバローゾ氏指名=選出難航で半年かかる=同性愛や中絶弁護の進歩派=メンサロン判決は覆るか?

ニッケイ新聞 2013年5月25日

 ジウマ大統領は23日、アイレス・ブリット前長官の退任以来空席となっていた連邦最高裁判事にルイス・ロベルト・バローゾ氏を指名した。同氏は進歩派の弁護士として知られる一方、メンサロン裁判の判決結果に異議を唱えており、同事件の上告裁判に影響を及ぼす可能性もある。24日付伯字紙が報じている。

 1958年生まれのバローゾ氏はリオ州立大学卒業の憲法学者で、同大学の教授として活動する傍ら、リオ州の検察官や弁護士としても活躍し、近年では、胚性肝細胞の研究や同性愛者による家庭形成、無能症胎児の中絶など、近年の重要な裁判における弁護で、「進歩派弁護士」との評価を受けている。
 その手腕は以前から評価され、カルドーゾ元大統領の時代から既に最高裁判事の候補として名前が挙がっていたほどだ。最高裁内部でも、ジョアキン・バルボーザ長官をはじめ、「有能な人物」と評価する声が高い。
 バローゾ氏は23日午前、ジョゼ・エドゥアルド・カルドーゾ法相との会談を終えたジウマ大統領から直々に指名を受け、「とても光栄だ」と喜びを口にしている。同氏は、上院での諮問を受け、承認され次第、最高裁判事に任職する。これにより、昨年11月のブリット長官退任以来半年以上続く空席が埋まり、本来の「11人体制」に戻ることとなる。
 バローゾ判事は昨年9月に就任したテオーリ・ザヴァスキ判事と共にメンサロン裁判の上告裁判に加わることになるが、同判事の参加で、昨年の公判で4〜5人から無罪票を獲得した被告の刑が軽減される可能性が出てきた。それはバローゾ氏がメンサロン裁判の結果について異議を唱える声明を出しているからだ。
 バローゾ氏は今年1月、「コンスウトール・ジュリーディコ」というサイトでエドゥアルド・メンドンサ弁護士と連名の形でメンサロン裁判について語った。その中で同氏は、国民感情を鑑みるのは悪いことではないが、「国民やマスコミからの圧力で事実を見る客観性よりもカタルシスが上回ってしまった」と語り、「何人かの被告の刑は驚くほど重くなった」と語った。さらに、「ある被告を有罪とすることは、時の政権担当政党が敷いて来た政治モデルをさばくことだ」とも綴っている。
 バローゾ氏は、メンサロン上告裁判への参加に加え、ブリット前長官が負っていた、元ミナス・ジェライス州知事で民主社会党(PSDB)元党首のエドゥアルド・アゼレード氏を中心に展開された汚職事件「メンサロン・ミネイロ」の報告官役を務める。
 11人目の判事候補には、ジウマ大統領が当初選んだエレノ・トーレス教授や、グレイシー・ホフマン官房長官推薦のルイス・ファッシン教授らの名前も出ていたが、ルーラ前大統領と親しい弁護士シグマリンガ・セイシャス弁護士を経てバローゾ氏に決まった。