ニッケイ新聞 2013年5月28日
欧米諸国を席巻する経済危機を尻目に、成長著しいアフリカ大陸エチオピアで26日、アフリカ統一機構(英語ならOAU、ポ語ならOUA)50周年を祝う式典が開催され、ジウマ大統領が、同大陸内12カ国が抱える負債の免除・救済を約束したと27日付伯字紙が報じた。
欧州連合(EU)は経済危機から脱却出来ず、米国も回復の途についたばかり、ブラジルも国内総生産の成長見通し下方修正など、世界的に成長機運が低迷する中、国際通貨基金(IMF)が今年も来年も6・5%成長と見込んでいる国がある。
それは、OAUの本部もあるエチオピアだ。1963年5月25日に当時のアフリア独立国33カ国中30カ国の協力で発足したOAUは、2002年7月にアフリカ連合(AU)へ発展した。
AUはOAUと違い、「平和安全保障委員会」を設置しているため、戦争や人権侵害を防止する事や平和維持軍の編成・派遣が出来る。国連も法人格を認めるAUは、各加盟国が強調して一つの意見を発するため、発言力も大きい。
タンザニア駐在のフランシスコ・ルスブラジル大使はここ10年間のアフリカの急成長は、何十もの国が民主主義を提唱し、抗争が減少した事が主な原因と見ている。
ジウマ大統領は26日の式典で「ここ10年のアフリカの復興は、IMFが作成した最も成長するであろう国のリストにアフリカ諸国が入っている事にも現れている」と発言後、その成長を支援するために二つの事を約束した。一つは、コートジボワールやガボン、ギニア、ギニアビサウ、モーレタニア、コンゴ共和国、サントメ・プリンシペ、セネガル、タンザニア、ザンビアの12カ国が抱えるブラジルへの負債(総額8億7900万ドル)の返済免除で、もう一つは、他国との交易や投資に関する戦略を担当するブラジル協力機構(ABC)の強化だ。
ブラジル政府は負債免除により、アフリカ大陸でのプロジェクトに参加するブラジル企業への融資を可能とする条件を整える意向で、ABCは、アフリカ諸国とラ米諸国との交易や支援を円滑にするための諸策の確立と推進への役割を負う事になる。
アフリカ諸国の中でも成長が著しいエチオピアは各地で高層ビルの建設が進み、高度な農業技術も導入されている。7月にはエチオピア航空がサンパウロとリオへの定期便も運行を開始、アフリカ大陸はブラジルにとり年々身近になっている。タンザニアに進出中のオブレデヒトやケイロス・ガルヴォン、マルコポーロ、アストラ、グリーン・ベスト・ソリューションなどはその一例で、AGNビオエネルジアやイピランガ・ルブリフィカンテス、エンブラエルも進出の機会を狙っている。
ブラジルの大陸支援が盛んになっている事もあり、世界貿易機構(WTO)事務局長選の際、ブラジルのロベルト・アゼヴェド大使は同大陸が持つ50票中43票を獲得し、選挙戦を有利に進めた。