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軍政・エルゾーギ=遺体撮影者現場に戻る=当初から自殺工作を疑う

ニッケイ新聞 2013年5月29日

 軍政時代に拷問死したジャーナリスト、ウラジミール・エルゾーギ氏の有名な獄中死写真を撮影したカメラマンが27日、38年ぶりに撮影場所を訪れ、当時のことを語った。28日付伯時紙が報じている。
 クウツーラのジャーナリストだったエルゾーギ氏は、1975年10月に逮捕され、10月25日にサンパウロ市の陸軍秘密警察(DOI—Codi)の中で拷問死している。
 その日、22歳だったカメラマンのシルヴァウド・レウング・ヴィエイラさんは軍の司令によって、エルゾーギ氏の遺体を撮影した。陸軍の当時の発表では、エルゾーギ氏は自殺したことになっていた。
 ヴィエイラさんの証言によると、エルゾーギ氏の首に巻かれたベルトは窓に引っ掛けられており、足は地に着いた状態だったという。「地に足が着いた状態で自殺するのは難しいはずだから何かおかしいと思った」とヴィエイラさんは当時を振り返っている。
 ヴィエイラさんは27日、今は警察署となっているDOI—Codiを訪れた。その結果、その建物がかつては秘密警察だったことはわかったが、エルゾーギ氏の遺体を撮影した部屋までは判別できなかった。
 ヴィエイラさんはその当時、市警での写真コースの研修2週目だったといい、「練習のつもりで撮っていたが、急に極秘事項になった」と語っている。撮影当時、ヴィエイラさんはエルゾーギ氏を知らなかったが、翌日になって同氏についての話を耳にし、「偽装工作に参加させられてしまった」と思ったという。
 エルゾーギ氏の遺族に、同氏の死因は窒息死ではなく、審問の際の拷問死だと知らされたのは今年の3月だった。
 ヴィエイラさんは28日、サンパウロ市の真相究明委員会で証言を行った。