南麻州=警察との抗争で先住民死亡=裁判で逆転判決の農園で=法相は事件の調査求める
ニッケイ新聞 2013年6月1日
南マット・グロッソ州の農園で5月30日、立ち退き命令に反抗する先住民と警官との抗争が起き、先住民1人が死亡、8人が重軽傷を負った。5月31日付伯字紙が報じている。
抗争が起きたのは、南マット・グロッソ州の州都カンポ・グランデから70キロ離れたシドロランジアのブリチ農場で、先住民のオジエル・ガブリエルさん(35)が腹部に銃弾を受けて死亡、先住民5人と連邦警察官3人が重軽傷を負った。また、未成年者3人を含む17人が公務執行妨害で逮捕された。
先住民と抗争になったのは軍警と連邦警察で、先住民は武器を持っていると聞いた連邦警察が武装して現地に向かったところ、先住民側が発砲してきたという。連警のエジガル・マルコン司令官は、「ゴム弾や催涙ガス弾は有効ではなかったし、先住民側が先に発砲してきたのだから、火器の使用は正当防衛にあたる」としている。
先住民の一人は「弓矢や槍、爆竹を持っていただけ」といっており、ガブリエルさんも死の直前に弓矢を放つ姿が写真に撮られているが、同司令官は、先住民を逮捕したとき、小銃2丁と拳銃1丁を押収したという。南マット・グロッソ州政府は、軍警はゴム弾は使ったものの実弾は使用していないと発表した。
ブリチ先住民保護区には9部族、3500〜4500人の先住民が住んでいるが、従来は2千ヘクタールだった保護区が1万7200ヘクタールに拡張された2010年から土地を巡る争いが発生。2012年に農園主らが訴訟を起こし、判断が覆ったため、国立インジオ保護財団(FUNAI)が上告中だった。同州内には農園に先住民が侵入したとされる所が62あり、17がシドロランジアに集中している。
ブリチ農園は、元下院議員のリカルド・バシャ氏が1927年以来一家が所有していた土地に先住民が侵入したと訴えており、連邦地裁が5月18日に立ち退き命令を出したが、先住民が抵抗。5月29日に再度の立ち退き命令が出たことで抗争が勃発した。
ジョゼ・エドゥアルド・カルドーゾ法相は、連邦警察監察局にガブリエルさんの死に関する調査を命じたことを明らかにした。同法相は、軍警は実弾を使ってないというアンドレ・プシネリ知事の発表に、「もう完全に調査が終わったのか」と疑問を呈している。
ジウマ政権下では、先住民と連邦警察の対立による死亡事件は、2012年11月にマット・グロッソ州とパラー州の間を流れるテレス・ピレス川で起こったもの以来、2件目となる。