ニッケイ新聞 2013年6月1日
本面で報じているように、〃3年問題〃により入国を拒否された日系人女性に、在留資格の認定書が発行された。
原告の夫に取材した際、印象に残ったのは、口数が少なく、聞いた質問以上の回答をなかなか得られなかったことだ。日本語がほとんど話せないことを考慮し、友人が通訳を買って出たにも関わらず、である。
選ぶ言葉から、現状を悲観し、何とかしたいという意思は汲み取れた。しかし、彼からより強く感じられたのは戸惑いであり、「デカセギ全体に関わる問題」と大上段に語る関係者の中ではどこか浮いて見えた。
それを思えば、裁判に至る前の決着は本人にとって最良のものでは。そもそも3年問題の見直しは、例外性の強い本件とは別問題。これを「きっかけ」と割切って、関係者にはさらに議論を深めて欲しいものだ。(酒)