ニッケイ新聞 2013年6月4日
5月29日から3日間ブラジルを訪問していた米国のジョー・バイデン副大統領が31日、「ブラジルと米国間の貿易は、今後5倍に拡大する可能性がある」と発言し、両国間の経済交流の活発化に期待を示した。1日付エスタード、フォーリャ両紙が報じた。
バイデン氏の訪伯は、10月に予定されているジウマ大統領の訪米に向けた下準備も兼ねている。ジウマ大統領の米国訪問は、オバマ政権2期目では初となる。
31日に行われたジウマ大統領との会談で、バイデン氏は特に再生可能エネルギー、プレサル、シェールガス等の事業に関心を示した一方で、「(両国間の貿易拡大のため)現在ある壁を乗り越え、両国で〃安心して〃投資ができる環境を整える必要がある」と課題の多さを強調、雇用創出のため、米国におけるブラジルの外国直接投資の促進も要請した。
また、バイデン氏は「両国の貿易収支額は年間1千億ドルを超える」と述べているが、昨年の両国の貿易総額は対米国の輸出額が267億ドル、輸入額が323億ドルの計590億ドルで、ブラジルにとっては56億ドルの輸入超過(赤字)となっている。
バイデン氏は「この4年で米国の要人が頻繁にブラジルを訪れている」と関係強化の傾向を強調し、伯政府が進める奨学金プログラム「国境なき科学」(Ciencia Sem Fronteiras)では、最も多くブラジル人留学生を受け入れていることに触れ、さらに受け入れを促進したいとの意向を示した。
なお、米国は1年前、ベロ・オリゾンテとポルト・アレグレの両市に領事館を再び開設することを表明しており、今回バイデン氏は「在ブラジル米国領事館の数を2倍に増やしたい」と話した。