ニッケイ新聞 2013年6月6日
【既報関連】5月18〜19日にボウサ・ファミリア(生活扶助)打ち切りや特別手当支給の噂が流れ、各地で取り付け騒ぎが起きた後、生活にも事欠く人が出ている。
1日付フォーリャ紙によると、セアラ州内陸部のキシャダーで農業を営むルシア・ソウザ・フィデレスさん(48)は、「母の日の特別手当が出た」という噂を聞いて銀行に走った一人で、引き出した金は借金の返済と薬代に使ってしまった。
ところが、銀行から引き出した金は連邦貯蓄銀行が生活扶助を前倒しして振り込んだものに過ぎず、特別手当など出ていなかったと知り、大泣きする事に。「どれだけ泣いたかわかりゃしない。食料と気管支炎の薬を買おうと思ったら、もう金はないって言われたんだからね」というルシアさんは、18日に電話をしてきたいとこは「大統領からのプレゼント」だと言っていたという。
事件直後、野党側が噂を流したとツィッターに書き込んだ閣僚もいたが、後になって、当初は「取り付け騒ぎが起きたから給付金の振込みを前倒しした」と説明していた連邦貯蓄銀行が、二重登録の見直しなどで番号が統一された人も予定期日に引き落としができるよう、17日に給付金の振り込み作業を行なった事を明らかにした。
連邦警察による調査報告は完結していないが、ジウマ大統領の責任を追及しようとする野党に対し、法務相は大統領には責任はないとの考えを表明。連邦貯蓄銀行のトップ更迭も見送られた。生活扶助に頼る貧しい庶民を走らせ泣かせた悪質な噂は、携帯電話のショートメッセージなどを使って流されたという。