ニッケイ新聞 2013年6月6日
最近は大分慣れたというか、諦めた部分もあるのだが、ブラジル人と喧嘩をすることが少なくなった。かつては修行不足の我が身をさておき、様々な場面でのいい加減な対応などに腹を立て、よく口論などになっていた。その際「お前みたいな日本人は見たことない」「日本人の印象が変わった」と捨てゼリフを吐かれ、鼻白んだことがあった▼日本人、日系人はおとなしく教育も行儀もよいという一般的なイメージを前提にして、そういう好印象をお前ごときが覆すのはいかがなものか—と民族の自尊心を攻めるなかなか高等なテクニックだ。仕事柄、移民が身をもって積み上げてきた信用を知っているだけに、自己嫌悪に陥っていたのだから、勝負アリというところだろう▼日本の外務省が24州600人に行った「対日世論調査」によれば、その親日ぶりが裏付けられる形となった(本日付7面詳細)。2008年の調査では、サンパウロ市、リオ、首都の3都市1千人が対象で、質問も違うので傾向などは分からないが、継続して実施してほしい▼日本人のブラジル人観は世代によっても大分違うのだろうが、ネガティブなイメージもかなりあると見ていい。実際、危険なイメージは想像以上の部分もあるのだが、住めば都、某駐在員などによれば、「恐る恐る来て泣く泣く帰る」とか▼4日、日本がW杯出場を決めた試合で、サポーターらが「子供を連れて応援にいきます」などブラジル行きを笑顔で宣言している姿をテレビで見た。親日イメージも日系隣人の存在が大なわけで、多くがコンフェデ杯、W杯で来伯し、お互いの印象をよくしていって欲しいものだ。(剛)