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黒人生徒らに優遇措置か=USPが入試緩和を検討=公立学校出身者は28%

ニッケイ新聞 2013年6月7日

 サンパウロ総合大学(USP)が、入学試験の際、黒人、褐色(パルド)、インディオと申告した公立学校出身者には、獲得点数の5%を加算するという項目を盛り込んだ入試改革案をまとめたと5日付フォーリャ紙が報じた。提案書は今月中に学内の審議会で検討される予定で、承認されれば同校初の特定の人種集団に限定した優遇措置導入となる。
 USPでは現在、公立学校出身者には入試の成績に15%の点を加算しているが、今後は20%に上げる見通し。黒人、パルド、インディオの受験生へのボーナス点は、計25%になる。
 この提案は、昨年12月にアウキミン州知事、USP、サンパウロ州立大学、カンピーナス州立大学の学長らが提示した、公立学校の優秀な生徒向けに2年間の高等教育機関(カレッジ)を設け、卒業後は無試験で前記3大学に入学できるようにするという案に、各学部が検討を加えて変更したものだ。
 USP側は「カレッジ創設案」を却下。代わりに冒頭のボーナス点追加や、公立学校生1千人に対して10カ月の予備講座(cursinho)を設置する案などを提示した。
 州知事らが提示したプロジェクトの目標は、入学者の半数を公立学校出身者、その内の35%を黒人、パルド、インディオの学生に充てるというもの。現状は、公立学校出身の合格者は28%にとどまっている。また、目標の達成時期は当初提示された2016年から18年に延長された。
 フォーリャ紙の取材によれば、審議会メンバーらは「多くの項目が問題なく可決される」とみているが、黒人の学生などへの5%ボーナスの項目については意見の相違があるという。
 例えば医学部は「生徒の質が変われば、大学の質が落ちる可能性がある」と抵抗を示す一方、人文学部は黒人学生らへのコッタ(特別枠)を採用することで対応できるとしている。
 なお5月4日付エスタード紙は、USPで最も倍率の高い10の学部では、今年の新入生の半数をAクラス(月収1万2440レ)、Bクラス(同6220レ)の家庭の子供が占め、公立学校出身者は19%のみだったと報じた。これら10の学部に合格した黒人学生は4人、パルドの学生は73人で、全体の10%のみだった。
 同記事によれば、公立学校出身者への15%の加点という措置では入学者数が増えておらず、実質的な効果は上げられていない。今年の新入生全体で見た公立学校出身者の割合は28・5%で、2012年の28%と比べ、0・5%ポイントしか上がっていない。