ニッケイ新聞 2013年6月12日
サンパウロ市南部サウーデ区クルシーノ大通りにある土地で11日朝、裁判所命令による強制立ち退き実行のために派遣された軍警に住民達が抵抗し、軍警がゴム弾などで威嚇するなどの騒ぎになった。11日付G1サイトが報じた。
動物園の近くにあり、1カ月前に不法侵入が起きた土地はある建設会社の所有で、警察は500家族ほどがいるとみているが、住民側は少なくとも1200家族が住んでいるという。
立ち退きに抵抗する住民達は6時頃、クルシーノ大通りにバリケードを築いてタイヤなどに火をつけたため、通りかかった車やバスは、来た道を戻ったり迂回したりしなければならなかった。
火は10時半頃には消し止められ、10時45分頃からは家屋の取り壊しも始まった。10時半の時点で軍警は負傷者の有無を把握していなかったが、グローボ局ニュース「ボンジーア・サンパウロ」などは、少なくとも住民1人が負傷したと伝えている。
建設会社は住民の持ち物を運ぶためのトラックを40台用意しており、朝6時半の時点では平穏な雰囲気と伝えられた。6時50分頃には家の中の物を外に出し、木造の家を解体し始めた人もいたというが、住民側弁護士によれば、6万5千平米の面積の10分の1にあたる6500平米は、市が低所得者層が住むために充てると公表しており、「立ち退きをさせられる所以はない」としている。住民の大半は付近のファベーラで家賃も支払っているという。
弁護士は「住民には立ち退きに伴う選択肢が与えられていなかった」としているが、市居住局は「住民には事前に知らせてあった。居住局の住宅提供プログラムに申し込むことができるし、保護施設に行くことも出来る」としている。