ニッケイ新聞 2013年6月13日
サンパウロ市のバスとメトロの料金値上げに反発する3度目のマニフェスト(抗議行動)が11日夜、パウリスタ大通りを中心に行われ、数十人の負傷者、20人の逮捕者を出した。12日付ブラジルメディアが報じた。
5〜6時間にわたる抗議行動は6日を上回る規模の暴動に発展し、エスタード、フォーリャ両紙が「パウリスタ大通りは戦場と化した」と報道。6日以降、3度目の抗議行動はますます破壊性を増し、市民を脅かす事態となっている。参加者は軍警が5千人、サンパウロ市警備隊が2500人と発表した(フォーリャ紙)が、エスタード紙では軍警が1万〜1万2千人と発表したと報じている。
主催者のMPL(フリー乗車運動)に属する法学部女子学生(23)は「我々が制御できないところまで膨張した。マニフェストは単なる暴動に姿を変えてしまった」と認めたが、「警察がセントロで介入する前の抗議行動は平和的だった」とし、軍警の鎮圧が混乱の引き金となったとの見方を示した。次の抗議行動は13日に行うと予告されている。
参加者は午後4時半頃コンソラソン通りのサイクリスト広場に集合。5時頃から太鼓などを鳴らしながら横断幕や左派政党の旗などを掲げてコンソラソン通り、東西線、リベルダーデ大通りを経てセー広場やバスターミナル(ドン・ペドロ・セグンド)に。セー広場やターミナルではバスや銀行の建物破損、落書きなどの行動に出たため、ヘリ3機が旋回。軍警機動隊が出動し、催涙ガス弾やスプレー、ゴム弾で鎮圧を図り、参加者は石や木材、火炎ビンなどを投げて応戦した。セー広場近くでは、1人の警官に約10人が石を投げ、殴る、蹴るの暴行を加えたが、立ち上がった警官は集団に銃を向けても発砲しなかったという場面もあった。
セー付近で散らされた参加者達は、ブリガデイロ・ルイス・アントニオ大通りを経てパウリスタ大通りに戻ったが、軍警に暴行しようとした仲間の逮捕で再び暴徒化。路上での放火、器物破損などを行い、再び軍警と衝突。完全に鎮圧化したのは11時過ぎだった。
抗議行動参加者は、MPLメンバーの他、全国学生連盟(UNE)、PT(労働者党)やPSOL(自由社会党)などの左派政党関係者、パンクロック愛好者、無政府主義者、フェミニストなどで、その一部はバスに火をつける、銀行や店などを襲う、サンパウロ大学法学部の建物に落書きするなどの暴挙を働いた。
2020年の万博招致のためにフェルナンド・ハダジ市長と共にパリにいるジェラルド・アルキミン州知事は、マニフェストは当然の権利で対話にも応じるが、暴動は言外とした上で、暴動の場合は「警察に解決を任せる」と発言している。サンパウロ市交通局長らは12日にMPL代表と会談する予定だが、ナディア・カンペオン副市長はラジオの取材に、「料金を下げる見込みは一切ない」と話している。