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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2013年6月13日

 小紙は日本のいくつかの地方紙と提携している。かつては紙面を送ってもらうことでニュース提供を受けてきた。ネットが普及した今、経費削減で送付を打ち切られ、現在「沖縄タイムス」のみが届く。サイトでは分からない広告やコラム、レイアウトなどを眺めるのが日課。ときおりコラムのネタにも使わせてもらうこともある▼今年5月で創刊10周年を迎えるという県内発行のフリーペーパー『箆柄暦』のニュースが載った。県内外である沖縄関連の音楽や文化イベントを紹介するもので発行部数は1万5千ほど。目をひいたのは、うち1万部が県外の沖縄ファンに配布されているということだ▼ある部分で邦字紙と似ているなと感じた。コロニア外、つまり日本の人に日系社会ニュースが関心を持たれることがある。最近、再び無料化したサイトを訪れる人は購読者の半分ほどに達することがあるし、フェイスブックもニュースによってはかなりの関心を呼ぶ。発信の内容に検討の余地はあるが、将来その比率は逆転していくだろう▼言葉の「内外」を超える意味で、2009年のアマゾン日本人移民80周年での連載などをまとめた『アマゾン』を発行する。日本語で残す歴史的意味を信じて新聞をつくりつつも、ポ語話者の世界でも関心を呼ぶことを期待した取り組みだ▼「ぴらつか」とは八重山方言で「役立たず」の意味。日常生活では役に立たないが、遊ぶときには便利なカレンダーの造語だとか。邦字紙を読まない人には「役目を終えた」と揶揄されることもあるが、発信先の可能性と、様々な価値を信じて、編集作業をつづける日々だ。(剛)