ニッケイ新聞 2013年6月14日
パウリスタ大通りでバス賃値上げ反対デモが暴動に発展したり、南麻州などでインディオの土地占有騒ぎが起きたり、議会両院でも与党のはずのPMDBが港湾法改正や石油採掘ロイアリティ問題で分裂して足を引っ張ったり、ジウマ3年目にして実に不安定な政権運営となっている▼ルーラ大統領時代には各業界との水面下交渉が頻繁だったが、「ジウマは実務肌で交渉事が苦手」との話は政権発足時からあった。現政権になって交渉がパタッと止まり、その代役になるべきパロッシらが疑惑で追い落とされ、手も足ももがれた状態になり、実務肌の〃身ギレイ〃な女性政治家で身の回りを固めた観がある▼その結果、親分肌のルーラが「まあ、まあ」と宥めてきた人たちがこの2年で〃窒息〃してしまい、それが限界に達してあちこちに綻びとなって現れ、ついに身内の反乱にまで繋がったように見える▼4月にはトマトなど庶民生活を直撃する必需品高騰が連日報道された。インフレという〃ブラジル経済の慢性病〃は少しでもタガが緩むとすかさず出てくる。そんなインフレ批判に応えて消費を煽る経済政策を辞め、4月の基本金利引上げを契機に外国投資を呼び入れて経済拡大路線を図る路線に大きく舵を切ったが、今回の支持率調査でジウマは初めて大きく評価を下げた▼この人気下落が一時的なのか、時代の潮目なのかは判断が難しい。イタリア系には欠かせないトマトの高騰が発端になっただけに、前回の大統領選でジウマに惜敗した伊系二世のジョゼ・セーラ候補は、コンフェデ杯のイタリア代表の試合を見ながらワインで、PT凋落に祝杯を挙げているかもしれない。(深)