ニッケイ新聞 2013年6月18日
サッカーのコンフェデ杯が15日、ブラジリアのマネ・ガリンシャ・スタジアムで開幕したが、開会式のために会場を訪れていたジウマ大統領がブーイングを浴びせられ、スタジアム前では本杯開催のために莫大な額の公的資金が投入されたことに反発する抗議行動が再び起こった。16日付フォーリャ、エスタード両紙が報じた。
最初のブーイングは、試合開始前にFIFAのジョセフ・ブラッター会長とジウマ大統領の名前が呼ばれたときに起こった。また、ポ語での挨拶を終えたブラッター氏がブラジル側の公職者代表としてジウマ氏の名前を呼び上げたときにも再びやじが飛び、ブラッター氏が「ブラジルサッカーの友人達よ、公職者への敬意とフェア・プレイの精神はどこにあるのか」とマイクで叫び、苛立ちを見せる場面もあった。
これについてPTのリンドバーグ・ファリアス上議は、「(大統領を)中流階級上位や上級階級の観客の前に不用意に立たせた秘書たちのミス。高い入場料を払えるクラスの人々は、ルーラやジウマの支持層ではない」と指摘した。
一方、カンジド・ヴァカレッツァ下議(PT)は「スタジアムにいる政治家が観客からブーイングを受けるのはいつものこと」と楽観的な見方を示し、「07年にリオで開かれたパンアメリカン大会でもルーラ大統領(当時)がブーイングを受けたが、ジウマを後継者に指名した選挙には影響しなかった」としている。他方、反対派議員らは、ダッタフォーリャの調査で示された支持率低下やドル高を受け新たな政策を迫られている昨今の状況を指し、「大統領への不満が拡大していると理解している」と厳しい見方を示した。
ブーイングを受けたジウマ氏はブラッター氏の横で眉間にしわを寄せて座っていたが、再度のブーイング後は予定していた演説を取りやめ、緊張した様子で開会宣言をするにとどまった。
また、会場周辺ではコンフェデ杯のスタジアム建設に投入された莫大な公的資金を、保健・医療や教育に投資すべきだと主張する抗議行動が起きた。また、連日のように起きているサンパウロ市や他の都市でのバス料金値上げに対する抗議行動に賛同する声もあった。
軍警は、ゴム弾や催涙ガスを用いて騒動鎮圧を図った。フォーリャ紙はこの抗議行動で少なくとも29人が負傷(連邦直轄区の政府は3人と発表)し、30人が身柄を拘束されたと報じているが、エスタード紙は52人が負傷し、18歳未満を含む22人が身柄を拘束されたとしている。