ニッケイ新聞 2013年6月20日
全国商業連合(CNC)が、今年の一般消費の成長見通しを4・5%から4・3%に下方修正したと19日付エスタード紙が報じた。今回の修正は今年3度目で、当初掲げていた6・5%から大幅に低下している。
08年の国際的な金融危機勃発以降、ブラジル経済を牽引し続けた一般消費は、12年も8・4%成長したが、今年の一般消費は第1四半期が0・1%と冷え込み、なかなか上向きそうもない。
CNCの経済学者のブルーノ・フェルナンデス氏は、「下半期は好転すると見ていたが、昨年より消費の伸びが弱い」という。CNCが18日に発表した6月の一般消費計画(ICF)は5月比1・9%の伸びとなっているが、5月の一般消費が低調であった事と、食料品の価格上昇が鈍り他の品の売れ行き改善との見方が、前月比1・9%の伸びという数字に反映されたようだ。
ICFは、雇用や所得、物品購入の実態、今後6カ月の雇用見通し、同3カ月の消費見通し、耐久消費財の購入状況を加味して算定されるが、実質的な賃金の伸び悩みや経済活動の回復の遅れが、将来の雇用不安を招いているという。実質的な賃金の伸び悩みは、企業利益が伸びていない事やインフレによる購買力低下も示している。
レアル高で国際的な競争力を失っていた工業界が生産や雇用増などの回復の兆しを見せた事や、ドル高レアル安という輸出支援要因が出来た事は明るい材料だが、国内産業保護のために導入された政策が経済活動の活性化にどんな影響を及ぼすかは未知数だ。消費促進型の成長戦略による、年収に占める負債の比率拡大や債務不履行に陥る消費者増加も懸念材料だ。
現政権の経済政策への批判は様々なところから出ているが、フェルナンド・エンリッケ・カルドーゾ元大統領は18日、民主社会党(PSDB)創立25周年とレアルプラン導入19周年記念の式で、経済基盤が安定していないと民主主義への信頼性は保てないとの考えを表明した。カルドーゾ氏は、経済の安定度を測る目安はインフレで、インフレが進めば「民衆が騒ぎ出す」と発言し、全国的で広がる抗議行動は、インフレ昂進に伴う不満が新しい世代を街頭に押し出したとの見方を明らかにした。同氏は、現在のブラジルでは富が庶民の懐に望ましい状態で入ってきておらず、保健衛生や教育、国民に夢を与えるといった部分も改善されるべきだと強調。アエシオ・ネーヴェス党首も、労働者党(PT)はカルドーゾ政権が道筋を付けたマクロ経済重視、各種の扶助導入による所得分配という政策を発展させただけで、現政権の経済政策の行き詰まりは、新しい方向性を打ち出す必要がある事を示していると主張した。