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現政権への評価が低下=インフレ・治安は特に不評=全国的な抗議行動の影響は

ニッケイ新聞 2013年6月21日

 ブラジル世論調査・統計機関(Ibope)が行った調査によると、現政権は良い/最高は、3月調査時の63%から55%に8%ポイント低下し、悪い/最悪が7%から13%に6%ポイント増加したと20日付エスタード紙が報じた。Ibopeの最新調査は、8〜11日に143市、2002人を対象として行われた。
 同調査によると、現政権への評価は、良い/最高55%、普通32%、悪い/最低13%だった。政府にとって最も懸念すべき項目は、可が38%、不可が57%だったインフレ対策や、不可が67%の治安対策だ。
 8日に発表されたダッタフォーリャによる大統領の支持率調査でも、良い/最高が65%から57%に8%ポイント低下していたが、この時点で支持率低下の原因とされたインフレは、ジウマ大統領や政府の経済スタッフが最も懸念する項目の一つでもある。
 5月28、29日に行われた中央銀行の通貨政策委員会(Copom)が経済基本金利(Selic)を前回を上回る0・5%ポイント引上げたのは、インフレは政権評価や大統領の支持率にも影響すると気づいたジウマ大統領が、中銀の引き締め政策に賛同し始めたからに他ならない。
 17日以降全国に拡大したデモも、公共交通機関の料金値上げに反対するサンパウロ市でのデモが発端だ。抗議行動は、コンフェデ杯やW杯に向けた巨額支出、汚職などに対する抗議も含んだ形で全国に広まったが、英国のエコノミスト紙はデモの原因はインフレ昂進に伴う不満の蓄積と分析している。今回の調査は全国規模の抗議行動前に行われており、評価低下が気になる大統領が、料金値下げによるインフレ鎮静化を願い、「国民の声を聞く」と発言したのではとのうがった考え方も出かねない状況だ。
 50%が可と評価したのは飢餓・貧困対策、環境保護、失業対策で、50%以上が不可と評価したのは治安、保健衛生、税金、インフレ対策、金利、教育だった。
 エスタード紙論説委員の一人は、現政権への評価低下は大統領への評価低下であり、投資を増すべき時期に、持ち家政策で家屋を購入した人に家具や電気製品購入用の融資を行う〃ミーニャ・カーザ・メリョール〃という消費刺激型政策を発表し、年間の生活扶助相当額をつぎ込むのは大統領の過ちと指摘しているが、大統領支持率が経済状況を反映するのは周知の事実。3月以降のインフレは食料など、生活に密着した物ほど昂進した上、14年大統領選挙の対立候補予定者達がインフレ問題を取り上げた事が政権評価を下げたのだとしたら、初回投票での再選は固いとの見方も揺らいで来かねない。