ニッケイ新聞 2013年6月21日
18日夜に5万人が集まって行なわれたサンパウロ市のデモで市役所を襲撃した一人、ピエール・ラモン・アルベスさんが謝罪し、損害賠償を支払う意向を見せたと20日付フォーリャ紙が報じた。
ピエールさんは建築学を学ぶ20歳の学生で、ムエタイ、柔術をたしなむという。警察によればMPL(無料乗車運動)や政党とは関わりがなく初犯。デモがあった翌日の19日、自宅を訪ねた警察官と話した母親からの電話を受け、父親といたマルジナル・チエテ沿いのガソリンスタンドにいたところを警察に連行された。公共物破損の罪で起訴された。
弁護士によれば、ピエールさんは「軍警が催涙スプレーを参加者の顔面に吹きかけているのを見て、石を投げた。すごく怒りを覚えた」と涙を流して証言した。レコルデTVの中継車への放火は否認し、「MPLの人たち全員に謝罪したい。自分は間違っていた。全ての結果を受け入れ、少しずつ罪を償っていきたい」と話している。
サンパウロ州市警組織犯罪捜査課(Deic)の担当刑事は、「彼は横柄だった。自分のための日だと勘違いして、全てを破壊し始めた」と非難した。
ピエールさんは当日、白いシャツを着て催涙ガスを避けるためのガスマスクを付けていたが、市警備隊員を追って市役所内に侵入しようとしたほか、金属製の柵で市役所のガラスを割ったりした。この間、マスクを何度か外しており、警備員にけがも負わせた。
警察は複数の証言、当日の写真とソーシャルネットワークサービスのページの写真から本人と特定した。
なお、市役所の襲撃は「自分たちは暴力行為は許さない」と表明しているMPLのメンバーらがその行為を止めたが、一部参加者がそれを振り切って暴挙に出ていたことが報じられている。