ニッケイ新聞 2013年6月25日
本紙15日付「移民の日の特集号」で取材した岸本アレシャンドレさんは日本語を話さず、コロニアとは距離を置いた少年期を過ごしている。
学校では、日系人が少数派だったためにいじめに遭ったなどと話していたが、「日本語や日系社会が嫌だった」ではなく「自分には必要ないと思った」という言い方を貫き、「日系人の半分がコロニアの外で生きているんじゃないかと思うけど、コロニアの中だけで生きるのも、完全に離れて生きるのも両方極端だと思う」との印象を語っていた。記事には「回帰した日系三世」と見出しをつけたが、彼の視点は日系だけに向いているわけではない。
二世三世に取材するとき、日系社会と関わっているか否かで勝手にその人を解釈してしまうことがあったが、その人が持つ日系の要素のみが彼の全てではないのだという、当たり前のことを改めて感じた。(詩)