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ゴルが国内便を大幅減便=ドル高、需要減の影響で=国外便は増便の方針変えず

ニッケイ新聞 2013年6月26日

 航空大手のゴル(GOL)社が、8月から国内便を中心に、週200便を減便すると発表した。25日付エスタード紙が報じた。同社のパウロ・セルジオ・カキノフ社長が24日、ニューヨークの株主らとの会談後に記者団に明かした。
 同社は現在、国内、国外便あわせて1日950便を運行しており、毎週の運行便数は6650便に上る。国内便の減便は当初7%減を予定していたが、「外部環境がネガティブに働いた」(カキノフ社長)ために9%減に変更した。
 同社の運営経費の約55%はドル建てで計上されており、全体経費の43%に当たる燃料費は為替変動の影響をもろに受ける。昨今のドル価高騰の影響は深刻で、1ドル=2・25レ台で推移した場合、燃料費は年額9億レに膨張するという。今年は1ドル=1・95〜2・05レアルで推移するとの見込みが、現在は1ドル=2・08〜2・18レアルで取引されている。
 航空業界では需要減退期にコスト高となる場合、減便は避けられず、結果としてチケットの価格も上がらざるを得ない。同社も既に経営戦略の見直しを行い、営業利益率を1〜3%に下方修正している。
 ただ、ドルでの増収方法の一つである国外便については増便の方針を変えていない。同社長によれば、ドミニカ共和国経由で、アメリカ大陸に飛ぶ便を1〜2便、新たに設ける考えだ。現在のドルでの収入は全体の8%に過ぎないが、国外便増便などでドル収入は16〜17%まで高まる可能性があるという。
 ただ、ニューヨークで開かれた同社のプロモーションキャンペーン「ゴル・デイ」に参加したウォール街のアナリストらは、現在、全伯的に起きているデモが航空業界にも影響を与えるのではないかと懸念しており、「デモが需要に影響を与えないか」「医療や公共交通、教育への投資拡大という要求に応える新方針を政府が打ち出した場合も、航空業界への将来的な投資はつづくのか」などと疑問視する声が上がっている。
 これに対し同社長は、「デモによる航空券売上への影響は見受けられない」とこれらの懸念を否定し、業界への影響としてはむしろ、サンパウロ州グアルーリョス空港であったような、デモによる道路封鎖で乗客、乗務員の空港到着が遅れるなどのロジスティックの問題が大きいとしている。
 ブラジルの航空業界では昨年、数十億レ単位で売上が減少しているが、この背景には燃料費高騰などでコスト高に悩まされる一方、超過供給で航空券価格を下げられないという諸事情があった。
 ゴル社では、昨年3月にも、損益を避けるために収益率の低い便を減らすという方針を取っており、1日に5・38%に当たる100便の減便を行った。同様の方針は、業界トップのタン(TAM)社も採用した。