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「賞に恥じない仕事したい」=ブラジルで影響力のある女性=ブルーツリー 青木智栄子社長2位に=米経済紙「フォーブス」で

ニッケイ新聞 2013年6月27日

 米国の経済誌「フォーブス」(Forbes)による「ブラジルで最も影響力のある女性」にブルーツリーホテルズ社長の青木智栄子氏(63、福岡)=帰化人=が二位に選ばれた。一位はペトロブラスのグラッサ・フォスター総裁。同誌はW杯とリオ五輪を控えた当地において、青木氏は「外国人のホスト代表に最もふさわしい人物」と評価している。日本の心〃おもてなし〃を売りに、国内24ホテルの陣頭指揮をとる。本紙の取材に対し、「これはブルーツリーが頂いたもの。社員ともども、賞に恥じない仕事をしていきたい」と謙虚なコメントをし、W杯、五輪に向けた取り組みなどを語った。

 同誌は毎年長者番付けをはじめ、様々なランキングを発表している。青木社長が取り上げられたのは、「世界で最も影響力のある女性」のブラジル版。記事は、過去十年でブラジルが達成した様々な発展の一つに、女性のビジネス界への台頭があると述べ、彼女たちの進学率や野心の高さについて言及、今後の女性の活躍に期待を寄せる。
 青木氏は、その活躍が国内外で知られる、日本移民の中でも最も知名度の高い一人だが、「ランキングを見た時は、お友達が並んでいるなと思ったくらい」と事もなげだ。
 現在、ホテル需要が伸びていることを受け、2016年までに15以上のホテルをオープン予定だ。「五輪やW杯は色んな国の文化を学べるチャンス。一人一人の客にあった接客の仕方を強化する機会にしたい」と語る。
 6歳で渡伯し、弁護士を目指してサンパウロ州立総合大学で法学を学んだ。後にサービス業に関心を持ち、米国のコーネル大学ホテル経営コースに進学、シーザーパークホテルに入社しホテル業界に参入した。1997年、同ホテル売却に伴い、ブルーツリーホテルズを設立した。
 ホテル経営歴30年。「苦労? 特に感じない。楽観的で落ち込んだりもしないし、いつも楽しい」と語り、〃右腕〃広瀬純子国際セールス部長と笑顔をかわす。「年を取って、経験とともに問題解決も早くなってきた。周りも成長したから、社長がいなくても会社は動く」と余裕の表情だ。
 「人の教育が大好き」と語る彼女は、『お客様を大事にすること』『利益追求』に加え、『社員教育』を経営の柱にかかげる。「人間皆、基本的なところは同じ。誰もが成長したいと思っている。要はやり方次第」。
 社員一人一人に目標を持たせ、主体性を育むのが彼女のやり方。ホテル業という枠を超えて、他社の優れた取り組みをモデルとして示すことで社員の向上心を高め、「褒めて、育てて、任せる」方式で各部門を担えるリーダーを育てている。「一人一人の客に応じた臨機応変な対応」は、こうした取り組みから生まれているのだろう。
 青木社長は「新しい可能性の限りない追求が好き。いいものを作るのに限界はない。毎日がチャレンジ」とすがすがしい笑顔を見せた。