ニッケイ新聞 2013年6月28日
全国的に発生しているデモの影響で消費者の経済への不安感が増大していることがFGV(ジェトゥリオ・ヴァルガス財団)の指数で明らかになっているが、実際の経済にも影響が出始めている。27日付エスタード、フォーリャ両紙が報じた。
エスタード紙によれば、今月の自動車販売台数は先月比で約4%増えたが、それでも業界関係者の予想を下回っている。トラックやバスを含む販売台数は25日までに26万6千台に上り、先月同期比3・9%増、自動車や商用軽量車の販売のみをみると4・1%増となった。ただし、6月に売れた新車の車両登録数は昨年同月比13・9%減となっている。
Anfavea(全国自動車工業協会)のルイス・モアン会長は「抗議の波が自動車業界に与える影響は〃疑いようがない〃」との見解を示し、「消費者が販売店に足を運ぶのが困難になったのは明らかで、それに伴って売上も落ちている」と強調する。
「デモが市場に不安定感を生み、信頼感が薄れた消費者が購入を先延ばしさせている」と話すのは、大手自動車組立メーカーの役員だ。「車が必要な人は買う。しかし新車への買い替えや2台目を考えている人は、しばらく購入を見合わせる可能性がある」と分析している。
今月の1日当たりの平均売上は15・704台で、先月比3・9%増。ただしICAコンサルティング社によれば、デモが全国で激化した17日以降のナンバープレートの交付数は、3〜14日の期間と比べて1日平均12%減っている。
モアン会長は昨年比3・5〜4・5%増、台数にして397万台という今年の売上目標は修正しない意向だが、「今月以降、市場成長率の失速は避けられない」と指摘している。
また、サンパウロ市内では小売業への影響も大きい。サンパウロ市セントロの場合、先週起きた一連のデモは市内のショッピングセンターやホテル、レストラン、バー等の動きを著しく停滞させた。
デモが起きた区域の商店の売上は70%落ち、ショッピングセンターを訪れる客は45%減った。市内各ホテルの占有率も約30%低下した。サンパウロ州ホテル産業協会(ABIH-SP)によれば、パウリスタ大通りや周辺のホテルは通常、平日は平均85%の占有率だが、先週は57%まで下落。セミナー等のイベントは70%キャンセルとなり、1千万レの損失となった。
レストランやバーは、6月の売上は例年より10%落ちるとみており、少なくとも1千軒のレストランが夜間の営業を断念したために既に600万レの損失が出た。
サンパウロ州バーレストラン協会(Abrasel)のジョアキン・アルメイダ会長は、「影響は市全体に広がっている。人々はデモで道路が閉鎖されて身動きが取れなくなることを恐れて、外出を控えている」と話している。