ニッケイ新聞 2013年7月2日
状況が悪い時程その人の真価が表れる—。6月6〜7日のダッタフォーリャ調査で初の支持率低下(8%)を経験したジウマ大統領が、6月27〜28日の調査で民政復帰後最大の27%という支持率低下を記録した▼インフレ昻進、為替変動に経済停滞、議会運営難航等に加え、5月30日に南麻州の先住民が警察との抗争で死亡したり、6月6日にサンパウロ市で始まった150人の抗議行動が全国350以上の町を巻き込む〃抗議の波〃に発展したりと、マイナス要因は数え上げたらきりがなく、大統領が〃地獄〃を体験と書く新聞もあった▼軍政下で迫害された活動家だったため、大統領の写真の横に「あの頃あなたが考えていた事と私達が今訴えている事は同じ」と書き添えてデモに参加した人もいた▼だが、全国を席巻した〃抗議の波〃に対して、政治改革等を謳う公約発表後も、制憲議会開催案を発表翌日に取り消し、政権担当以来3度目(!)の労組代表との会合も途中で退席するなど、その対応には不満がくすぶる▼労組代表達が「労働者の声を聞いてくれない」と不満を漏らし、フリー乗車運動(MPL)代表達も大統領と会談後、「大統領は(自分達と論議できるだけの)準備が出来ていない」と言うなど、マイナス面ばかり表面化している▼有能な人物にありがちな自分で全部を決める傾向がある大統領には、反対意見や批判の声は耳を塞いでしまいたいものに違いない。だが、直接選挙で選ばれたからこそ国民の声に耳を傾ける事は必須だ。何かあるとルーラに逃げるとさえ言われる中、国民に向き合い腰をすえて聴く姿勢抜きで支持率回復や再選は困難では?(み)