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外国人医師受け入れ政策=国民の意見は賛否両論=国内医師団体は反対デモ

ニッケイ新聞 2013年7月3日

 全国的に広がった一連のデモへの〃回答〃として、先月24日にジウマ大統領が五つの公約を打ち出した。アレッシャンドレ・パディーリャ保健相はその内の保健行政改革に関し、医療インフラが特に不足する地域に外国人医師受け入れとの政策案を発表したが、これに関する国民の反応は賛成、反対でほぼ二分されている。1日、2日付フォーリャ紙が報じた。
 6月27、28日に全国196市、4717人を対象にダッタフォーリャが行なった調査では、賛成47%、反対48%、無関心、わからないが各2%でほぼ拮抗した。若年層では51%、低学歴者では56%、貧困層では54%、北東部在住者では56%が賛成している。
 政策に反対する傾向は学歴や収入が高ければ高いほどが強い。学歴別では、初等教育のみの人の38%、高校卒業者の51%、大学卒業者の66%が反対と答えており、収入別では、家庭収入が2最賃以下の人の41%、2〜5最賃の人の52%、5〜10最賃の人の62%が反対と回答した。
 また、石油生産に伴うロイヤルティの100%を教育に投資すべきとした当初の連邦政府の方針(下院審議で、25%は医療に投資するよう修正された)については、賛成と答えた人が56%、教育だけに特定せず、保健医療や公共交通等、他の分野に投資するか否かの決定権を知事や市長に持たせるべきという人が40%いた。若年層の61%、北東部在住者の63%、州都在住者の65%、高学歴者と高収入者の各々66%は、政府案に賛成している。
 ブラジル内の医師不足は深刻で、その数は16万人と言われている。このままの状態なら、医師不足の状態は2035年まで続くと推定されている。
 その対策として政府が打ち立てたのが、医師不足が特に顕著な都市郊外や内陸部で勤務する医師を国外で募集するという政策だ。希望者には国内でポ語とSUS(統一保健システム)に関する研修や評価を行なった後、合格者を2年契約で採用する。その後も勤務を希望する人には、ブラジルの医師認定基準にそった試験を課す意向だ。
 外国人がブラジルで3年以上医師として勤務するにはこの試験を受けることが必須だが、この試験の合格率は10%程度と極端に低い。政府としては医師不足を補うべく、外国人医師の受け入れを容易にしたい考えだ。
 この政策案に対しては国内の複数の医師団体が反対するデモを行なっており、パディーリャ保健相はこれに対して1日、「最初はブラジル人医師に対して募集をかけ、それでも人数が集まらない場合に外国人を呼ぶ」と述べ、ブラジル人医師を優先する方針を強調している。