ニッケイ新聞 2013年7月3日
週末6、7日に開催される「七夕祭り」に異変が起きている。宮城県人会(中沢宏一会長)は6月29日の役員会で、過去34回全てに共同開催者として関わってきた『リベルダーデ七夕祭り』に対し、今年は運営に関わらないことを正式決定、初めてのリベルダーデ文化福祉協会(池崎博文会長、ACAL)単独開催となった。近年は沈静化していた両団体の諍いだったが、いくつもの行き違いが生じ、決裂に至った。例年「サンパウロ仙台七夕祭り」だったが、今年のポスターには「七夕祭り」としか書かれていない。
先月21日に開かれたACALによる記者会見には、宮城側の委員の姿がなかった。記者が念のため中沢会長に確認すると、「記者会見の事実は聞いていない」と話し、さらに詳細を取材すると両者の間に行き違いがあることがわかった。
実行委員会による準備会議が始まったのは3月で、当時は中沢会長ら3人が出席していた。ただし、その後の会議で、ACAL側が立替えている昨年の七夕祭り経費の半額を契約どおりに支払って欲しいと要求したことを県人会側が不服とし、結論がでないままズルズルと膠着状態が続いていた。
これに加え、ACAL役員らによれば、県人会側が会議に出なくなった直接の原因は「開催日」問題にあるという。6月12日の会議で、開催日を市のカレンダー通りの「6、7日」と確認したら、「県人会はその日に別の市で七夕祭りをやるのでその日はムリ」との話となり、それ以降、宮城県人会側からの出席がなくなったという。
ただし中沢会長に確認すると、「7日に別の市で七夕をやるという予定はない。何かの勘違い」と話している。
2日に来社したACALの浜崎マルセリーノ副会長は、「宮城県人会からは未だに七夕を『やらない』とも『できない』とも言ってきていない。何の説明もなく1カ月前から会議に来なくなった。でも、七夕は市公式行事カレンダーに入っている以上、ACALだけでもやらざるを得ないと判断した」と主張する。
単独開催を決断したACALは、2〜3週間前から急きょ、同婦人部やリベルダーデ文化教育健康協会(岩井輝禎会長)の会員らを毎日総動員して、100本もの竹と飾りを準備してきた。川内ウーゴ理事は「今年は全て私たちの責任になるが、皆で頑張って良い祭りにしなければ」と意気込んでいる。
一方、中沢会長から聞くと、だいぶ異なった印象の話になる。「単独開催は前々からACALが望んでいたこと。彼らはこれまでの会議でお互いの意見の折り合いがつかない中で、先月19日に一方的に『単独でやる』という趣旨の文書を送りつけてきたので、(6月)29日の役員会で話し、それを受け入れた。そこまで言われて、会員に嫌な思いをさせてまで(運営に関わることは)出来ない」。
ACALに離脱決定の報告をしたかと尋ねると「向こうは断定調で単独開催を主張してきたのだから、こちらから言うべきことは何もないはず」として、特に通達は行っていないことを認めた。
物別れになった原因について尋ねると「詳しくは話せない」としながらも「文化としての七夕を強調したい私たちに対し、ACALは商業ベースの考えが強すぎる。両者の契約上、宮城側が販売権を持つ短冊についても、自分たちの商売にしたいと異を唱えていた」との金銭面の考え方の違いもあったようだ。
昨年度分の経費未払いについては事実を認めながらも「2010年度分で払ってもらうべきものを貰っていない。それも含めて交渉をしているはず」と対し不信感を示した。
会議の欠席については鈴木実行委員長が「12日以降会議が開かれていること自体聞いていない」と話した。
【七夕祭り】6日午後2時、鳥居前で開会式後、大阪橋横の日本庭園で神道儀式、3時40分から広場で来賓祝辞。ひまわり太鼓、民舞、花柳金龍会など▼7日正午から各種踊りなど。